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寄与分と特別受益
(1)
寄与分
相続人のうち、亡くなった人の生前における財産の維持や増加、あるいは亡くなった 人の療養看護など特別の貢献があった者については、遺産分割については、法定相続分 によって取得する額を越える遺産を相続できます。このように、被相続人に寄与をした 相続人が得る利益のことを「寄与分」といいます。
寄与分の額は、原則として相続人間の協議によって定められますが、協議が調わない ときは、寄与をした者が家庭裁判所に寄与分を決めてくれるよう請求できます。
寄与分を主張できるのは相続人だけに限られ、内縁の夫や妻、亡くなった夫の両親の 世話をしてきた嫁などには認められていません。反面、相続人であれば、限定承認をし ていても、特別受益を受けたために具体的相続分がない場合でも、寄与分の主張ができます。
このように、特別の貢献をした人に対して寄与分の制度があるわけですが、寄与分の 額は後日相続人間の協議で決めるのが原則である等、寄与分があることの疎明やその金 額の決定に多くの時間と労力を要するのが一般です。ぜひ報いたい貢献をしてくれた者 があるときは、寄与分ということで目的の人物に承継されるだろうと期待せず、遺言や 贈与等の措置をとっておくのがよいでしょう。
なお、民法には、法定相続人が1人もいないと確定した場合に、生計を同じくしてい たり、療養看護に努めたり、その他被相続人と特別の縁故があった者(特別縁故者)に ついて、遺産の一部、あるいは全部を与えるという規定もあります。しかし、このよう な者に遺産を残したいと考えている場合にも、前記と同様の理由から、生前贈与や遺言 等で財産を残す措置をとっておくほうがよいでしょう。
寄与分の額は、原則として相続人間の協議によって定められますが、協議が調わない ときは、寄与をした者が家庭裁判所に寄与分を決めてくれるよう請求できます。
寄与分を主張できるのは相続人だけに限られ、内縁の夫や妻、亡くなった夫の両親の 世話をしてきた嫁などには認められていません。反面、相続人であれば、限定承認をし ていても、特別受益を受けたために具体的相続分がない場合でも、寄与分の主張ができます。
このように、特別の貢献をした人に対して寄与分の制度があるわけですが、寄与分の 額は後日相続人間の協議で決めるのが原則である等、寄与分があることの疎明やその金 額の決定に多くの時間と労力を要するのが一般です。ぜひ報いたい貢献をしてくれた者 があるときは、寄与分ということで目的の人物に承継されるだろうと期待せず、遺言や 贈与等の措置をとっておくのがよいでしょう。
なお、民法には、法定相続人が1人もいないと確定した場合に、生計を同じくしてい たり、療養看護に努めたり、その他被相続人と特別の縁故があった者(特別縁故者)に ついて、遺産の一部、あるいは全部を与えるという規定もあります。しかし、このよう な者に遺産を残したいと考えている場合にも、前記と同様の理由から、生前贈与や遺言 等で財産を残す措置をとっておくほうがよいでしょう。
(2)
特別受益
特別受益とは、複数の相続人のなかに、婚姻・養子縁組のため、または生活資本として、被相続人から生前贈与または遺贈を受けている者がいるとき、その贈与・遺贈の価 額をいいます。
特別受益のある相続人は、その受益額が相続分に充当され、また、相続分を超える場 合には受益額の限度で相続することになります。
被相続人が特別受益の持ち戻しを免除する意思表示をしたときは、遺留分の規定に反しない限り、持ち戻しをしないことになります。そのため、後継者が特別受益を理由に 財産の承継分を減らされるのを防ぐには、特別受益の持ち戻しを免除する意思表示をし ておくとよいでしょう。これには特別の方式は不要で、贈与と同時になされる必要もな く、また遺言によってもできますが、紛争を防ぐためには、遺言のなかなどで客観的に 明確な意思表示をしておくのがよいでしょう。
特別受益のある相続人は、その受益額が相続分に充当され、また、相続分を超える場 合には受益額の限度で相続することになります。
被相続人が特別受益の持ち戻しを免除する意思表示をしたときは、遺留分の規定に反しない限り、持ち戻しをしないことになります。そのため、後継者が特別受益を理由に 財産の承継分を減らされるのを防ぐには、特別受益の持ち戻しを免除する意思表示をし ておくとよいでしょう。これには特別の方式は不要で、贈与と同時になされる必要もな く、また遺言によってもできますが、紛争を防ぐためには、遺言のなかなどで客観的に 明確な意思表示をしておくのがよいでしょう。