⑴
株主代表訴訟の対象となる取締役の責任の範囲については、従来、学説・裁判例ともに見解が分かれていたが,この点について最高裁平成21年3月10日は,「法267条1項(引用者注:旧商法)にいう「取締役ノ責任」には,取締役の地位に基づく責任のほか,取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれると解するのが相当である。」とした。
このように、上記最高裁は、株主代表訴訟によって株主が追及し得る取締役の責任の範囲について、非限定説に立つことを明らかにしたといえる。
そして、現行会社法においても、株主代表訴訟において追及し得る取締役の責任の範囲については、「役員等…の責任」とのみ規定されているところ(同法847条1項)、本判決は会社法の下での株主代表訴訟においても妥当するものと考えられる。
このように、上記最高裁は、株主代表訴訟によって株主が追及し得る取締役の責任の範囲について、非限定説に立つことを明らかにしたといえる。
そして、現行会社法においても、株主代表訴訟において追及し得る取締役の責任の範囲については、「役員等…の責任」とのみ規定されているところ(同法847条1項)、本判決は会社法の下での株主代表訴訟においても妥当するものと考えられる。
⑵
実務的対応
このように、最高裁において取締役の責任の範囲が広く捉えられることが明らかとなったことにより、取締役が株主代表訴訟を提起される潜在的可能性が大きくなったということがいえる。
取締役としては、自己の行為が代表訴訟の対象となり得ることを念頭に業務に励む必要があるといえる。
取締役としては、自己の行為が代表訴訟の対象となり得ることを念頭に業務に励む必要があるといえる。
最高裁平成21年3月10日(民集63巻3号361頁)