その他の定期借家の活用方法

定期借家実務マニュアル

第4

定期借家の活用方法

集合写真

その他の定期借家の活用方法

(1)

借地権買取交渉の局面における定期借家

旧来から建物所有目的の貸地を所有している地主が、 当該借地人 (その土地上に建物を建てて居住している者) に対し、 地上建物と借地権の買い取りを求めて交渉する場面を想定します。 地主の借地権買取り要求に対して、 借地人はこの建物に死ぬまで住みたいと主張したとします。 この場合、 交渉の妥結点として、 地主が借地人から建物と借地権を買い取り、 建物を定期借家方式で一定期間相手方 (もとの借地人) に賃貸するという案が考えられます。 この場合、 相手方としては、 比較的長期の定期借家契約にしておけば一応安心です。
(2)

定期借地権の存続期間満了に際しての定期借家

(イ)
事業用定期借地権の存続期間満了に際しての定期借家
事業用定期借地権は、 存続期間を10年以上20年以下とし、 もっぱら事業の用に供する建物の所有を目的とする借地権です (借地借家法第24条第1項)。
この借地権の存続期間が満了しますと、 借地人は地上建物を収去して土地を地主に返還しなければなりません。 しかし、 借地人が期間満了後も建物を使用したいと考え、 地主も土地の返還を受けた後適当な土地利用の方法を見出していないような場合は、 双方の協議により、 地上建物を地主が買い取り、 定期借家方式で建物を一定期間賃貸するという案が現実的なものとなってきます。
(ロ)
建物譲渡特約付定期借地権の存続期間満了に際しての定期借家
建物譲渡特約付定期借地権は、 存続期間を30年以上とし、 存続期間満了時に借地権を消滅させる方法として、 地主が当該土地上の建物を相当の対価で買い取る旨の特約を付した借地権です (借地借家法第23条第1項)。 この特約により、 借地権が消滅した場合に、 引き続き借地人又は建物の賃借人が当該建物の使用を継続しているときは、 その者が請求をすれば期限の定めのない建物賃貸借が成立したものとみなされます (借地借家法第23条第2項)。
しかし、 定期借家制度が普及すれば、 そのような事態となる前段階において借地人と地主との合意により、 定期借家方式で当該建物を一定期間賃貸するという方法が現実的に選択可能となります。
(ハ)
一般定期借地権の存続期間満了に際しての定期借家
一般定期借地権は、 存続期間を50年以上とし、 更新されることのない借地権です (借地借家法第22条)。
この借地権の存続期間が満了しますと、 借地人は地上建物を収去して、 土地を地主に返還しなければなりません。
しかし、 この借地権の存続期間満了時において、 地上建物がまだ十分使用可能な状態であれば、 地主と借地人の交渉、 協議により、 例えば地主が借地人から建物を無償で譲り受け、 定期借家方式で建物を一定期間賃貸するということが現実的に可能になりました。
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