第2
法定後見制度
3
(2)
保佐人、補助人の制度
保佐人、補助人の制度については、ほとんど後見人の制度と同じです。これまでは準禁治産制度の保佐人について配偶者がいれば配偶者が必ずなるという配偶者法定後見人制度がありましたが、改正されてなくなりました。
(イ)
保佐人、補助人の選任
(a)
保佐人、補助人は職権による審判で選任されます(876条の2第1項、876条の7第1項)。配偶者は一律に保佐人、補助人とはならないので、全てのケースで保佐人、補助人を選ぶ手続きも必要となったことから、保佐、補助開始の審判のときに申立てがあればよく、選任のときにさらなる申立ては不要とされました。この点は後見人選任の場合と同じです。
複数の保佐人、補助人が選べるようになったので、一度保佐、補助が始まった後に保佐人、補助人を複数にすることができるようにするため、追加的な選任もできるようになりました(876条の2第2項、876条の7第2項、843条3項)。
保佐人、補助人が死亡するなどしていなくなったときは、職権によるか、または申立てで新しい保佐人、補助人を選任することになります(876条の2第2項、876条の7第2項、843条2項)。
複数の保佐人、補助人が選べるようになったので、一度保佐、補助が始まった後に保佐人、補助人を複数にすることができるようにするため、追加的な選任もできるようになりました(876条の2第2項、876条の7第2項、843条3項)。
保佐人、補助人が死亡するなどしていなくなったときは、職権によるか、または申立てで新しい保佐人、補助人を選任することになります(876条の2第2項、876条の7第2項、843条2項)。
(b)
保佐人、補助人の選任基準
1)
本人の心身の状態、生活、財産の状況
2)
保佐人、補助人になる人の職業、経歴
3)
保佐人、補助人になる人と本人の利害関係
4)
後見人になる人の意見
5)
その他一切の事情
(ロ)
保佐人、補助人になる人
(a)
後見人の場合と同じく、法人、または複数の人が保佐人、補助人になることができます。
(b)
保佐人、補助人の欠格事由
後見人の欠格事由が準用されているので、後見人の場合と同じです。
後見人の欠格事由が準用されているので、後見人の場合と同じです。
1)
未成年者
2)
家庭裁判所で解任などをされた法定代理人、保佐人、補助人
3)
破産者
4)
本人に対して訴訟をしている人、その配偶者、その直系血族
5)
行方の知れない人
(ハ)
保佐人、補助人の職務
(a)
財産管理権
保佐人、補助人は申立てによって代理権が与えられることがありますが、代理権の範囲で財産管理権も持っています。例えば、家を売る代理権を与えられた場合には、売却に際して家の修繕をすることもありましょう。ですから、家を修理したりして維持する財産管理権がなければ、家の売却の代理権を与えても、その目的が十分に果たせないのです。
保佐人、補助人は申立てによって代理権が与えられることがありますが、代理権の範囲で財産管理権も持っています。例えば、家を売る代理権を与えられた場合には、売却に際して家の修繕をすることもありましょう。ですから、家を修理したりして維持する財産管理権がなければ、家の売却の代理権を与えても、その目的が十分に果たせないのです。
(b)
保佐人、補助人の権限の制限
1)
本人の居住用不動産の処分についての許可
本人の居住用不動産の売買などの処分について保佐人、補助人に代理権が与えられたときは、住環境の変化は本人にとって重大なことから、家庭裁判所の許可が必要です(876条の5第2項、876条の10第2項、859条の3)。
本人の居住用不動産の売買などの処分について保佐人、補助人に代理権が与えられたときは、住環境の変化は本人にとって重大なことから、家庭裁判所の許可が必要です(876条の5第2項、876条の10第2項、859条の3)。
2)
利益相反行為
保佐人、補助人と本人の利害が対立する行為について保佐人、補助人が代理できるとすると、本人の利益が害されるおそれがあるので、できないことになっています。こうした行為をするときは、保佐監督人、補助監督人がいればこれらの人が、いなければ臨時保佐人、臨時補助人を家庭裁判所に選任してもらい、こういった人が本人を代理して保佐人、補助人と取引をします(876条の2第3項、876条の7第3項)。
保佐人、補助人と本人の利害が対立する行為について保佐人、補助人が代理できるとすると、本人の利益が害されるおそれがあるので、できないことになっています。こうした行為をするときは、保佐監督人、補助監督人がいればこれらの人が、いなければ臨時保佐人、臨時補助人を家庭裁判所に選任してもらい、こういった人が本人を代理して保佐人、補助人と取引をします(876条の2第3項、876条の7第3項)。
3)
本人の行為を目的とする契約についての本人の同意
本人の行為が義務となるような契約については、それをさせられる本人の意思が特に重要ですから、本人の同意が必要です(876条の5第2項、859条の2、876条の10第1項、824但書、)。
本人の行為が義務となるような契約については、それをさせられる本人の意思が特に重要ですから、本人の同意が必要です(876条の5第2項、859条の2、876条の10第1項、824但書、)。
(ニ)
保佐人、補助人の義務後見人と同じように、善管注意義務、身上配慮義務(876条の5第1項、876条の10第1項)を負います。
(ホ)
費用、報酬
(a)
保佐人、補助人の事務の費用
保佐人、補助人がその事務するのに必要な費用は、本人の財産の中から支出することができます(876条の5第2項、876条の10第1項、861条2項)。後見の事務の費用が準用されているので同じです。
保佐人、補助人がその事務するのに必要な費用は、本人の財産の中から支出することができます(876条の5第2項、876条の10第1項、861条2項)。後見の事務の費用が準用されているので同じです。
(b)
保佐人、補助人の報酬
これまでは、準禁治産制度における保佐人の権限は、同意権だけと小さかったので、報酬についての法律の規定はありませんでした。
しかし、改正によって、保佐人には取消権と代理権も与えられることになり、また新設の補助人も取消権、代理権を与えられるので、後見と同じように家庭裁判所が本人の財産の中から相当の報酬を与えることができることが明確にされています(876条の5第2項、876条の10第1項、862条)。
これまでは、準禁治産制度における保佐人の権限は、同意権だけと小さかったので、報酬についての法律の規定はありませんでした。
しかし、改正によって、保佐人には取消権と代理権も与えられることになり、また新設の補助人も取消権、代理権を与えられるので、後見と同じように家庭裁判所が本人の財産の中から相当の報酬を与えることができることが明確にされています(876条の5第2項、876条の10第1項、862条)。
(ヘ)
保佐人、補助人の辞任、解任
(a)
保佐人、補助人の辞任
後見人の場合と同じく、正当な事由と家庭裁判所の許可があれば、保佐人、補助人は辞任することができます(876条の2第2項、876条の7第2項、844条)。
後見人の場合と同じく、正当な事由と家庭裁判所の許可があれば、保佐人、補助人は辞任することができます(876条の2第2項、876条の7第2項、844条)。
(b)
保佐人、補助人の解任
後見人の場合と同じように、保佐人、補助人に不正な行為、著しい不行跡、その他保佐、補助の任務に適当でない事由があるときは、家庭裁判所は申立てによるか、または職権で、保佐人、補助人を解任することができます(876条の2第2項、876条の7第2項、846条)。
後見人の場合と同じように、保佐人、補助人に不正な行為、著しい不行跡、その他保佐、補助の任務に適当でない事由があるときは、家庭裁判所は申立てによるか、または職権で、保佐人、補助人を解任することができます(876条の2第2項、876条の7第2項、846条)。
後見人、保佐人、補助人の制度