第3
任意後見制度
7
(5)
任意後見監督人の職務
(イ)
任意後見人の事務の監督
任意後見人の事務の監督が任意後見監督人の主な職務になります(任意後見法7条1項1号)。任意後見制度では家庭裁判所が後見人に対して直接的な監督をしませんので、任意後見監督人による監督は特に重要です。
なお、監督事務の内容について法律に具体的な規定はありませんが、基本的には法定後見の場合の後見監督人の監督事務と同じことはできると考えてよいでしょう。
任意後見人の事務の監督が任意後見監督人の主な職務になります(任意後見法7条1項1号)。任意後見制度では家庭裁判所が後見人に対して直接的な監督をしませんので、任意後見監督人による監督は特に重要です。
なお、監督事務の内容について法律に具体的な規定はありませんが、基本的には法定後見の場合の後見監督人の監督事務と同じことはできると考えてよいでしょう。
(ロ)
家庭裁判所へ定期的に報告すること
法定後見の場合、家庭裁判所は直接に後見人に対して報告を求める権限があるのですが、任意後見制度ではこのような権限はありません。そこで、家庭裁判所の間接的な監督を可能とするために、任意後見監督人は任意後見人の事務について定期的に家庭裁判所に報告しなければならないものとされています(任意後見法7条1項2号)。
法定後見の場合、家庭裁判所は直接に後見人に対して報告を求める権限があるのですが、任意後見制度ではこのような権限はありません。そこで、家庭裁判所の間接的な監督を可能とするために、任意後見監督人は任意後見人の事務について定期的に家庭裁判所に報告しなければならないものとされています(任意後見法7条1項2号)。
(ハ)
急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲で必要な処分をすること
たとえば任意後見人が一時的に病気になったりして、後見事務が行えないような緊急の場合には、任意後見監督人が任意後見人の代理権の範囲で本人保護のために必要な行為をしなければなりません(任意後見法7条1項3号)。
たとえば任意後見人が一時的に病気になったりして、後見事務が行えないような緊急の場合には、任意後見監督人が任意後見人の代理権の範囲で本人保護のために必要な行為をしなければなりません(任意後見法7条1項3号)。
(ニ)
利益相反行為について本人を代理すること
任意後見人と本人の利害が対立する行為については、本人を害するおそれがあるので任意後見人は本人を代理することができず、代わりに任意後見監督人が本人を代理します(任意後見法7条1項4号)。
任意後見人と本人の利害が対立する行為については、本人を害するおそれがあるので任意後見人は本人を代理することができず、代わりに任意後見監督人が本人を代理します(任意後見法7条1項4号)。
(ホ)
任意後見人に対して後見事務の報告を求めること、後見事務、本人の財産状況を調査すること
これらの権限を使って後見事務の行われ具合や、本人の財産の状況を把握することで、任意後見人を監督します(任意後見法7条3項)。
これらの権限を使って後見事務の行われ具合や、本人の財産の状況を把握することで、任意後見人を監督します(任意後見法7条3項)。
(6)
任意後見監督人の義務
委任の規定が準用されているので、善管注意義務を負います(任意後見法7条4項、民法644条)。
(7)
任意後見監督の事務の費用、報酬
任意後見監督の事務の費用、報酬については、法定後見の規定が準用されていますので、本人の財産の中から支出されます(任意後見法7条4項、民法861条2項、862条)。費用については結局本人が払うことになるので任意後見人の場合とほとんど同じですが、報酬については、任意後見監督人の場合は家庭裁判所が判断して相当な額を決めるのに対して、任意後見人の場合は当事者間の特約によってより自由に決められる点が少し異なっています。
(8)
任意後見監督人の辞任、解任
任意後見監督人の辞任、解任についても、後見人の規定が準用されています(任意後見法7条4項、民法844条、任意後見法8条)。任意後見監督人は正当な事由があり、家庭裁判所の許可があるときに限り辞任することができます。
8
家庭裁判所による監督
任意後見人に対する主な監督は任意後見監督人がすることになっており、家庭裁判所は任意後見監督人を介しての間接的な監督をすることとされています。前述のように、家庭裁判所は任意後見監督人から任意後見人の事務についての定期的な報告を受けますが、さらに必要があるときは家庭裁判所の方から任意後見監督人に対して後見事務や本人の財産状況の調査を命じ、また必要な処分を命じることができます(任意後見法7条3項)。
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任意後見と法定後見の関係
任意後見の対象となる人と、法定後見の対象となる人は、ともに精神上の障害によって判断能力が不足する人なので、任意後見契約が結ばれている場合、理論上はどちらの制度も始めることができるということになりましょう。しかし、こうした場合はわざわざ任意後見契約を結んで信頼できる人を選び、また成年後見人に任せる権限の内容を合意により定めているわけですから、本人の意思を尊重して任意後見が原則として優先することとされています。そして例外的に、家庭裁判所が代理権だけでなく同意権も与える必要があると判断するといったような場合に限り、法定後見が始まることになります(任意後見法10条1項)。
任意後見監督人の制度