2
任意後見制度のQ&A
(1)
Q:
任意後見制度の概略を教えてください。
A:
任意後見制度
「任意後見契約に関する法律」で定められた制度です。この制度は、本人の判断能力が低下する前に本人と任意後見人になる予定の者が任意後見契約という委任契約を結んだ場合に適用があります。任意後見契約とは、委任者が将来「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況に」なった際の「自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部」をあらかじめ受任者に委託し、その委託に係る事務について代理権を付与するという委任契約です。これにより将来の財産の管理などをしてもらうものです。
この制度の特徴は、法定後見制度と異なり、本人が主体的に予め将来のために委任事項を定めておける点です。本人に判断能力があるうちに、判断能力が欠ける状態となった後の財産管理や身上看護を第三者に委任するので、契約の内容は本人の考えている内容とすることができます。そして、本人の判断能力が欠ける状態になったときは、任意後見契約の受任者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。そして、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときに、任意後見契約の効力が発生するのです。
注意が必要なのは、任意後見契約は、公正証書によらないと結ぶことができない点です。公正証書の作成費用は、内容に関わらず一律1万1000円です。そして、任意後見契約の公正証書が作成されると、公証人が登記所に嘱託して、任意後見契約の登記がなされます。登記にかかる費用は5400円です。
「任意後見契約に関する法律」で定められた制度です。この制度は、本人の判断能力が低下する前に本人と任意後見人になる予定の者が任意後見契約という委任契約を結んだ場合に適用があります。任意後見契約とは、委任者が将来「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況に」なった際の「自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部」をあらかじめ受任者に委託し、その委託に係る事務について代理権を付与するという委任契約です。これにより将来の財産の管理などをしてもらうものです。
この制度の特徴は、法定後見制度と異なり、本人が主体的に予め将来のために委任事項を定めておける点です。本人に判断能力があるうちに、判断能力が欠ける状態となった後の財産管理や身上看護を第三者に委任するので、契約の内容は本人の考えている内容とすることができます。そして、本人の判断能力が欠ける状態になったときは、任意後見契約の受任者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。そして、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときに、任意後見契約の効力が発生するのです。
注意が必要なのは、任意後見契約は、公正証書によらないと結ぶことができない点です。公正証書の作成費用は、内容に関わらず一律1万1000円です。そして、任意後見契約の公正証書が作成されると、公証人が登記所に嘱託して、任意後見契約の登記がなされます。登記にかかる費用は5400円です。
Q:
任意後見制度の利点はどのようなことですか?
A:
任意後見制度の利点は、自分にまだ判断能力があるうちに、最も信頼できる人を自分自身で任意後見人として選ぶことができます。また、その任意後見人に行ってもらう事務の内容を予め任意後見契約によって取り決めることができます。その上、契約は信頼できる第三者である公証人を介して公正証書で行われ、契約内容の登記もされるので任意後見人の地位が公的に証明され、社会的な信用も高いものといえます。さらに、任意後見人に対して、家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、公的な監督が付くので、任意後見人に対するチェック機能もあり安心できます。
Q:
成年後見制度と任意後見制度はどのように使い分けるのでしょうか?
A:
法定後見制度は原則として裁判所により後見人等を選任してもらうものであるのに対し、任意後見制度は当事者間の契約によって後見人を選ぶ制度です。したがって、法定後見と任意後見制度の使い分けは、一般的には、法定後見は判断能力が既に失われたか、あるいは不十分な状態になり、自分で後見人等を選ぶことが困難になった場合に利用されるものであるのに対して、任意後見は、まだ判断能力が正常である人や、判断能力が衰えたとしてもその程度が軽く、自分で後見人を選ぶことができる人が将来の備えとして利用する制度です。
Q:
任意後見と法定後見はどちらが優先される関係にあるのでしょうか?
A:
1.
任意後見の優先
任意後見がなされている場合に法定後見開始の審判を申立てたり、法定後見がなされている場合に任意後見契約に基づく任意後見を開始することができるのか、両者の調整が問題となることがあります。
任意後見は本人が自ら将来のために契約をしていますから、自己決定権を尊重すれば、任意後見を優先することになります。
任意後見がなされている場合に法定後見開始の審判を申立てたり、法定後見がなされている場合に任意後見契約に基づく任意後見を開始することができるのか、両者の調整が問題となることがあります。
任意後見は本人が自ら将来のために契約をしていますから、自己決定権を尊重すれば、任意後見を優先することになります。
2.
原則
通常は、任意後見契約が登記されている場合、原則として、法定後見の開始の審判をすることはできません(任意後見契約に関する法律10条1項)。したがって、任意後見契約が登記されている場合は、本人の判断能力が低下して、申立権者による任意後見開始の申立てがなされれば、任意後見監督人の選任の審判がされ、任意後見人が、任意後見事務を開始することになります(任意後見制度についてはQ 任意後見制度の概略を教えてください を参照ください)。この場合、前になされていた法定後見開始の審判は取り消されます。
通常は、任意後見契約が登記されている場合、原則として、法定後見の開始の審判をすることはできません(任意後見契約に関する法律10条1項)。したがって、任意後見契約が登記されている場合は、本人の判断能力が低下して、申立権者による任意後見開始の申立てがなされれば、任意後見監督人の選任の審判がされ、任意後見人が、任意後見事務を開始することになります(任意後見制度についてはQ 任意後見制度の概略を教えてください を参照ください)。この場合、前になされていた法定後見開始の審判は取り消されます。
3.
例外
ただこの場合でも例外として、「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」は法定後見の審判が維持されて、任意後見制度に必要とされる任意後見監督人は選任されません。
逆に、任意後見契約が登記されている場合でも、「本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り」法定後見の審判ができる場合があり、その時は、任意後見契約は、当然に終了します。
たとえば、任意後見に与えられている代理権の範囲が狭すぎて十分な職務が出来ない場合や、任意後見人に不適任な理由がある場合も法定後見制度によらざるをえません。また、任意後見契約締結時に本人に契約を締結する能力がなかった場合も任意後見契約自体が無効になるので、法定後見制度を利用することになります。
ただこの場合でも例外として、「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」は法定後見の審判が維持されて、任意後見制度に必要とされる任意後見監督人は選任されません。
たとえば、任意後見に与えられている代理権の範囲が狭すぎて十分な職務が出来ない場合や、任意後見人に不適任な理由がある場合も法定後見制度によらざるをえません。また、任意後見契約締結時に本人に契約を締結する能力がなかった場合も任意後見契約自体が無効になるので、法定後見制度を利用することになります。
全般1