第1編
株式交換の法律実務
第2
1
会社法
(7)
債権者保護手続
(イ)
株式交換に際して、債権者に不利益を与えるおそれがある一定の場合には、当該債権者は、株式交換に対して異議を述べることができます。
(ロ)
完全親会社となる会社の債権者は、下記(a)及び(b)の場合に株式交換に対して異議を述べることができます。
(a)
株式交換に際して、完全親会社となる会社から完全子会社となる会社に対して、株式又はこれに準ずるもの以外のものを交付する場合(会社法799条1項3号)
(b)
株式交換に際して、完全親会社となる会社が完全子会社となる会社から、新株予約権付社債を承継する場合(会社法799条1項3号、768条1項4号ハ)
(ハ)
完全子会社となる会社の新株予約権付社債の社債権者は、株式交換に際して、完全子会社となる会社から完全親会社となる会社に、新株予約権付社債が承継される場合には、当該株式交換に対して異議を述べることができます(会社法789条1項3号)。
債権者異議申述期間は、1ヶ月以上とされているため、当事会社は、株式交換の効力発生日の1ヶ月以上前までに、下記(a)から(b)の事項を官報に公告し、かつ知れてる債権者に対しては個別に催告をする必要があります(会社法789条1項、2項、799条1項、2項)。もっとも、上記官報に加えて、定められた日刊新聞紙または電子広告により、広告する場合には、上記催告は不要になります(会社法789条3項、799条3項、939条1項2号、3号)。
債権者異議申述期間は、1ヶ月以上とされているため、当事会社は、株式交換の効力発生日の1ヶ月以上前までに、下記(a)から(b)の事項を官報に公告し、かつ知れてる債権者に対しては個別に催告をする必要があります(会社法789条1項、2項、799条1項、2項)。もっとも、上記官報に加えて、定められた日刊新聞紙または電子広告により、広告する場合には、上記催告は不要になります(会社法789条3項、799条3項、939条1項2号、3号)。
(a)
株式交換をする旨
(b)
相手方当事会社の商号及び住所
(c)
当事会社の計算書類に関する事項
(d)
債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨債権者が上記債権者異議申述期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該株式交換について承認をしたものとみなされます(会社法789条4項、799条4項)。
一方、債権者が上記債権者異議申述期間内に異議を述べたときは、当該会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託することが必要になります。もっとも、当該株式交換をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでありません(会社法789条5項、799条5項)。
一方、債権者が上記債権者異議申述期間内に異議を述べたときは、当該会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託することが必要になります。もっとも、当該株式交換をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでありません(会社法789条5項、799条5項)。
(8)
株券・新株予約権証券提出手続と割当て及び登録質権者等に対する手続
(イ)
株券提出手続
株式交換において、完全子会社となる会社が株券発行会社であって株券を発行している場合、当該会社は、株式交換の効力発生日までに株券を提出しなければならない旨を、当該効力発生日の1か月前までに広告し、かつ、株主及び登録株式質権者に通知する必要があります(会社法219条1項7号)。もっとも、株式の全部について株券を発行していない場合には上記広告・通知は不要となります。
株式交換の効力発生日までに株券を提出しない株主に対しては、当該株券の提出があるまでの間は、株式交換によって受け取ることのできる対価の交付を拒否することができます(会社法219条2項)。
なお、上記手続による株券の提出が困難な株主は、他の手続により上記対価の交付を受けることができます(会社法220条)。
株式交換において、完全子会社となる会社が株券発行会社であって株券を発行している場合、当該会社は、株式交換の効力発生日までに株券を提出しなければならない旨を、当該効力発生日の1か月前までに広告し、かつ、株主及び登録株式質権者に通知する必要があります(会社法219条1項7号)。もっとも、株式の全部について株券を発行していない場合には上記広告・通知は不要となります。
なお、上記手続による株券の提出が困難な株主は、他の手続により上記対価の交付を受けることができます(会社法220条)。
(ロ)
新株予約権証券提出手続
株式交換において、完全子会社となる会社が新株予約権証券を発行している場合、当該会社は、株式交換の効力発生日までに株券を提出しなければならない旨を、当該効力発生日の1か月前までに広告し、かつ、新株予約権者及び登録新株予約権質権者に通知する必要があります(会社法293条1項6号)。
株式交換の効力発生日までに新株予約権証券を提出しない新株予約権者に対しては、当該証券の提出があるまでの間は、株式交換によって受け取ることのできる対価の交付を拒否することができます(会社法293条2項)。
なお、上記手続による新株予約権証券の提出が困難な新株予約権者は、他の手続により上記対価の交付を受けることができます(会社法293条4項)。
株式交換において、完全子会社となる会社が新株予約権証券を発行している場合、当該会社は、株式交換の効力発生日までに株券を提出しなければならない旨を、当該効力発生日の1か月前までに広告し、かつ、新株予約権者及び登録新株予約権質権者に通知する必要があります(会社法293条1項6号)。
株式交換の効力発生日までに新株予約権証券を提出しない新株予約権者に対しては、当該証券の提出があるまでの間は、株式交換によって受け取ることのできる対価の交付を拒否することができます(会社法293条2項)。
なお、上記手続による新株予約権証券の提出が困難な新株予約権者は、他の手続により上記対価の交付を受けることができます(会社法293条4項)。
(ハ)
株式交換対価の割当て
完全子会社となる会社の株主に対しては、株式交換の効力発生日後に、株式交換の対価が交付されます。
会社法においては、上記対価として完全親会社となる会社の株式に加えて、社債、新株予約権、金銭等を交付することができます。
対価の交付において、各株主に交付する株式数に端数が生じる場合には、競売等の手続を利用することが必要な場合があります(会社法234条)。
完全子会社となる会社の株主に対しては、株式交換の効力発生日後に、株式交換の対価が交付されます。
会社法においては、上記対価として完全親会社となる会社の株式に加えて、社債、新株予約権、金銭等を交付することができます。
対価の交付において、各株主に交付する株式数に端数が生じる場合には、競売等の手続を利用することが必要な場合があります(会社法234条)。
(ニ)
登録質権者等に対する手続
株式交換において、完全子会社となる会社は、登録株式質権者及び登録新株予約権質権者に対して、株式交換をする旨を通知または広告する必要があります(会社法783条5項、6項)。
株式交換において、完全子会社となる会社は、登録株式質権者及び登録新株予約権質権者に対して、株式交換をする旨を通知または広告する必要があります(会社法783条5項、6項)。
株式交換の法律手続と規制