第1
交通事故の被害者の損害賠償請求
3
(2)
後遺症が生じた場合1
(イ)
後遺症とは
後遺症とは、一般に、これ以上治療を継続しても症状の改善が望めない状態(症状固定)になったときに残存する障害をいいます。後遺障害ということもあります。通常、受傷してから6ヶ月をめどに症状固定の時期を主治医と相談することになりますが、脳外傷や骨折など症状固定まで1年以上かかる場合もあります。
なお、症状が固定後は、休業損害が後遺症による逸失利益の中に含まれると考えられるため、休業損害がもらえなくなります。したがって、症状固定日がいつになるかは重要な問題です。
後遺症とは、一般に、これ以上治療を継続しても症状の改善が望めない状態(症状固定)になったときに残存する障害をいいます。後遺障害ということもあります。通常、受傷してから6ヶ月をめどに症状固定の時期を主治医と相談することになりますが、脳外傷や骨折など症状固定まで1年以上かかる場合もあります。
なお、症状が固定後は、休業損害が後遺症による逸失利益の中に含まれると考えられるため、休業損害がもらえなくなります。したがって、症状固定日がいつになるかは重要な問題です。
(ロ)
後遺症等級認定
交通事故によって負ってしまった後遺症・後遺障害の程度については、自賠責保険の保険金支給基準とするために「後遺症別等級(下記後遺症別等級表・労働能力喪失率をご参照ください)」が定められ、裁判実務上も重要な基準とされています。被害者が損害賠償を請求できる逸失利益や慰謝料の金額は、後遺症がどの等級に認定されるかによって大きく影響をうけることになります。この等級は1級から14級まであり、1級が一番重く、14級が一番軽いものです。しかし、最低でも14級には該当するということではありません。むち打ち症のように被害者自身には自覚できる後遺症があっても、それが必ずしも後遺症の等級として認定してもらえないこと(非該当)も現実に多く存在します。
すなわち、後遺症を負った被害者による損害賠償請求にあたっては、後遺症の実態をより正確かつ適切に反映した等級の認定を得ることが極めて重要になります。
後遺症別等級の認定は「自動車損害保険料率算出機構」という公法人によって行われ、医師の診断書による書類審査が中心となります。したがって、診断書の記載内容やその具体性などで認定に大きな影響が出る場合があります。そのため、自分の症状を細かく医師に伝えることはとても重要です。
場合によっては、別の医師からセカンドオピニオンとして診断書をとって、より有利な後遺症等級の認定をしてもらう努力も必要になることがあります。
後遺症別等級表・労働能力喪失率は次の文字をクリックしてご覧下さい。
後遺症別等級表・労働能力喪失率
交通事故によって負ってしまった後遺症・後遺障害の程度については、自賠責保険の保険金支給基準とするために「後遺症別等級(下記後遺症別等級表・労働能力喪失率をご参照ください)」が定められ、裁判実務上も重要な基準とされています。被害者が損害賠償を請求できる逸失利益や慰謝料の金額は、後遺症がどの等級に認定されるかによって大きく影響をうけることになります。この等級は1級から14級まであり、1級が一番重く、14級が一番軽いものです。しかし、最低でも14級には該当するということではありません。むち打ち症のように被害者自身には自覚できる後遺症があっても、それが必ずしも後遺症の等級として認定してもらえないこと(非該当)も現実に多く存在します。
すなわち、後遺症を負った被害者による損害賠償請求にあたっては、後遺症の実態をより正確かつ適切に反映した等級の認定を得ることが極めて重要になります。
後遺症別等級の認定は「自動車損害保険料率算出機構」という公法人によって行われ、医師の診断書による書類審査が中心となります。したがって、診断書の記載内容やその具体性などで認定に大きな影響が出る場合があります。そのため、自分の症状を細かく医師に伝えることはとても重要です。
場合によっては、別の医師からセカンドオピニオンとして診断書をとって、より有利な後遺症等級の認定をしてもらう努力も必要になることがあります。
後遺症別等級表・労働能力喪失率は次の文字をクリックしてご覧下さい。
後遺症別等級表・労働能力喪失率
(a)
後遺症等級の認定を受ける方法
後遺症等級の認定を受ける方法には、次の3つがあります。
後遺症等級の認定を受ける方法には、次の3つがあります。
1)
事前認定
もっとも一般的な方法で、加害者側の任意保険会社に手続きをしてもらう方法です。任意保険会社は、後遺症診断書や画像などの資料を公法人である損害保険料率算出機構に提出し、等級認定を求めます。
この方法は、被害者に手間がかからないという点が利点です。しかし、主体となるのが加害者側の任意保険会社であるため、任意保険会社が誠実な対応をしない場合がないとはいえません。そのため事前認定によると、被害者の後遺症を評価するための資料が不足し、算出機構が症状の実態を把握できず、実際よりも低い評価になることもあるようです。
もっとも一般的な方法で、加害者側の任意保険会社に手続きをしてもらう方法です。任意保険会社は、後遺症診断書や画像などの資料を公法人である損害保険料率算出機構に提出し、等級認定を求めます。
この方法は、被害者に手間がかからないという点が利点です。しかし、主体となるのが加害者側の任意保険会社であるため、任意保険会社が誠実な対応をしない場合がないとはいえません。そのため事前認定によると、被害者の後遺症を評価するための資料が不足し、算出機構が症状の実態を把握できず、実際よりも低い評価になることもあるようです。
2)
被害者請求
これは、被害者が自ら算出機構に等級の認定を請求をする方法です。被害者が自分で必要書類等を整え、加害者の自賠責保険会社に提出します。その後、自賠責保険会社から、算出機構に書類が回付され等級が認定されると、自賠責保険会社に書類が戻り、被害者に通知されます。
この方法は、手続きの透明性が高く、提出書類も被害者が自ら検討して取捨選択することが可能です。また、等級認定されると自賠責部分の賠償額が先に支払われるという利点もあります。他方で、この方法には手間がかかるというデメリットがあります。
これは、被害者が自ら算出機構に等級の認定を請求をする方法です。被害者が自分で必要書類等を整え、加害者の自賠責保険会社に提出します。その後、自賠責保険会社から、算出機構に書類が回付され等級が認定されると、自賠責保険会社に書類が戻り、被害者に通知されます。
この方法は、手続きの透明性が高く、提出書類も被害者が自ら検討して取捨選択することが可能です。また、等級認定されると自賠責部分の賠償額が先に支払われるという利点もあります。他方で、この方法には手間がかかるというデメリットがあります。
3)
受任請求
これは、被害者請求を、業務として行うことが法律上認められた弁護士等の有資格者に依頼する方法です。手間がかかるという2)のデメリットを克服し、提出資料を専門家とともに検討できるという利点があります。ただし、業務を依頼するための費用が発生します。
これは、被害者請求を、業務として行うことが法律上認められた弁護士等の有資格者に依頼する方法です。手間がかかるという2)のデメリットを克服し、提出資料を専門家とともに検討できるという利点があります。ただし、業務を依頼するための費用が発生します。
(b)
後遺症等級の認定に対する不服申立後遺症等級の認定に対し、不服がある場合は異議申立をすることができます。被害者請求の場合には、自賠責保険会社に対し申立書を提出します。
事前認定の場合には、被害者が任意保険会社に異議申立を行い、任意保険会社が算出機構に対して事前認定に対する再認定の依頼をすることになりますが、被害者が異議申立の理由等を記載して任意保険会社に再認定の申請を依頼しても、任意保険会社が必要ありと考えない場合には、その申請を行わないこともあり得ますので、被害者請求に切り替えて異議申立をすべき場合もあります。
等級認定を行う算出機構への異議申立は、反論すべき根拠を書面にして主張し、各審査会が書面により再審査します。ただし、反論するためには新たな資料が必要になります。そこで、診断医の意見書、専門医による新たな診断書、未提出の各検査の結果、交通事故の刑事記録などを用意する必要があります。
ちなみに平成17年度の異議申立の統計結果によれば、平成16年度後遺症専門部会の審査件数5284件のうち等級変更が認められたのは487件(9.2%)で等級変更なしは(86.2%)4559件という状況です。
事前認定の場合には、被害者が任意保険会社に異議申立を行い、任意保険会社が算出機構に対して事前認定に対する再認定の依頼をすることになりますが、被害者が異議申立の理由等を記載して任意保険会社に再認定の申請を依頼しても、任意保険会社が必要ありと考えない場合には、その申請を行わないこともあり得ますので、被害者請求に切り替えて異議申立をすべき場合もあります。
等級認定を行う算出機構への異議申立は、反論すべき根拠を書面にして主張し、各審査会が書面により再審査します。ただし、反論するためには新たな資料が必要になります。そこで、診断医の意見書、専門医による新たな診断書、未提出の各検査の結果、交通事故の刑事記録などを用意する必要があります。
ちなみに平成17年度の異議申立の統計結果によれば、平成16年度後遺症専門部会の審査件数5284件のうち等級変更が認められたのは487件(9.2%)で等級変更なしは(86.2%)4559件という状況です。
損害賠償請求の内容