第2
自動車保険
1
(4)
保険金の請求方法
自賠責保険会社に支払を請求する場合には、
(イ)
被保険者による保険金請求(加害者請求。自動車損害賠償補償法15条)
(ロ)
被害者による損害賠償額の支払請求(被害者請求または直接請求。自動車損害賠償補償法16条)
があります。
被保険者は、被害者に対して自ら損害賠償額を支払った限度において、自賠責保険会社に対して、保険金の支払を請求することができます。
他方、被害者も、加害車両の保有者の損害賠償責任が発生したときは、保険会社に対して、保険金額の限度で損害賠償額の支払を請求することができます。これは損害賠償額の請求と呼ばれ、厳密には、保険金の請求とは区別されています。
被保険者は、被害者に対して自ら損害賠償額を支払った限度において、自賠責保険会社に対して、保険金の支払を請求することができます。
他方、被害者も、加害車両の保有者の損害賠償責任が発生したときは、保険会社に対して、保険金額の限度で損害賠償額の支払を請求することができます。これは損害賠償額の請求と呼ばれ、厳密には、保険金の請求とは区別されています。
(5)
保険金を請求できる期間
自賠責保険会社に保険金または損害賠償額を請求できる権利には、特別に短い消滅時効期間が設けられています。この期間を経過すると、これらの請求権は消滅してしまうので、注意が必要です。被保険者が自賠責保険会社に保険金を請求する加害者請求権の場合、時効期間は、被保険者が自ら被害者に損害賠償額を支払った日から2年とされています(自動車損害賠償補償法23条、商法663条)。
他方、被害者が自賠責保険会社に損害賠償額を請求する被害者請求(直接請求)の場合、時効期間は、
(イ)
傷害による損害の場合は事故時から
(ロ)
後遺症による損害の場合は症状固定時から
(ハ)
死亡による損害の場合は死亡時から
それぞれ2年です(自動車損害賠償補償法19条)。
何らかの事情によって請求が遅れ、時効期間が経過しそうなときは、予め自賠責保険会社に連絡のうえ、所定の手続をとるべきです。
なお、法律上、時効中断の理由として、請求、差押え、仮差押え、仮処分および承認があります(民法147条以下)。
何らかの事情によって請求が遅れ、時効期間が経過しそうなときは、予め自賠責保険会社に連絡のうえ、所定の手続をとるべきです。
なお、法律上、時効中断の理由として、請求、差押え、仮差押え、仮処分および承認があります(民法147条以下)。
(6)
仮渡金
(イ)
原則
自賠責保険会社に対する保険金の支払請求は、被保険者の損害賠償責任の有無や金額が確定して初めて認められるのが原則です(本請求)。
しかし、このような原則を貫くと、被保険者が損害賠償責任の有無や金額について争う場合には、被害者は決着がつくまでの間長期間、損害の賠償を受けられないこととなり、治療費や入院費等の当座の支出にも困ることになります。
自賠責保険会社に対する保険金の支払請求は、被保険者の損害賠償責任の有無や金額が確定して初めて認められるのが原則です(本請求)。
しかし、このような原則を貫くと、被保険者が損害賠償責任の有無や金額について争う場合には、被害者は決着がつくまでの間長期間、損害の賠償を受けられないこととなり、治療費や入院費等の当座の支出にも困ることになります。
(ロ)
修正
自賠責保険の掛かっている自動車の保有者が、その自動車の運行によって人身事故を起こしたときは、被害者は、自賠責保険会社に対し、一定の金額を損害賠償額の支払いのための仮渡金として支払うよう請求することができます(自動車損害賠償補償法17条)。
仮渡金額は、被害者1人につき、
自賠責保険の掛かっている自動車の保有者が、その自動車の運行によって人身事故を起こしたときは、被害者は、自賠責保険会社に対し、一定の金額を損害賠償額の支払いのための仮渡金として支払うよう請求することができます(自動車損害賠償補償法17条)。
仮渡金額は、被害者1人につき、
(a)
死亡の場合で290万円
(b)
次の傷害の場合で40万円
1)
脊柱の骨折で脊髄を損傷した場合
2)
上腕または前腕の骨折で合併症を有する場合
3)
大腿または下腿の骨折
4)
内臓の破裂で腹膜炎を併発した場合
5)
14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上の場合
(c)
(b)の傷害を除く次の傷害の場合で20万円
1)
脊柱の骨折
2)
上腕または前腕の骨折
3)
内臓の破裂
4)
病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上の場合
5)
14日以上病院に入院することを要する傷害
(d)
(b)および(c)の傷害を除いた、11日以上医師の治療を要する傷害の場合で5万円
さらに、傷害による損害に限り、被害者が治療継続中などのために、総損害額が確定しない場合であっても、既に発生したことが立証できる損害については、被保険者または被害者は、保険金または損害賠償額の内払を請求することができる制度もあります。
さらに、傷害による損害に限り、被害者が治療継続中などのために、総損害額が確定しない場合であっても、既に発生したことが立証できる損害については、被保険者または被害者は、保険金または損害賠償額の内払を請求することができる制度もあります。
(7)
保険金額
(イ)
死亡した場合
(a)
死亡による損害(次の(b)の損害を除きます)につき、3000万円
(b)
死亡に至るまでの傷害による損害につき、120万円
(ロ)
介護を要する後遺症をもたらす傷害を受けた場合
(a)
等級に該当する介護を要する後遺症がある場合(同一の等級に該当する介護を要する介護傷害が2つ存在する場合を含みます)におけるその後遺症(次の(b)の損害を除きます)につき、1級の場合で4000万円、2級の場合で3000万円
(b)
介護を要する後遺症に至るまでの傷害による損害につき、120万円
(ハ)
傷害を受けた場合(上記(ロ)の場合を除きます)
(a)
傷害による損害(次の(b)から(f)の損害を除きます)につき、120万円
(b)
第5級以上の等級に該当する後遺症が2つ以上ある場合におけるその後遺症による損害につき、重い後遺症の該当する等級の3級上位の等級に応じた金額
(c)
第8級以上の等級に該当する後遺症が2つ以上ある場合(上記(b)の場合を除きます)におけるその後遺症による損害につき、重い後遺症の該当する等級の2級上位の等級に応じた金額
(d)
第13級以上の等級に該当する後遺症が2つ以上ある場合(上記(b)および(c)の場合を除きます)におけるその後遺症による損害につき、重い後遺症の該当する等級の1級上位の等級に応じた金額(その金額がそれぞれの後遺症の該当する等級に応ずる金額を合算した金額を超えるときは、その合算した金額)
(e)
等級に該当する後遺症が2つ以上ある場合(上記(b)から(d)の場合を除きます)におけるその後遺症による損害につき、重い後遺症の該当する等級に応じた金額
(f)
等級に該当する後遺症がある場合(上記(b)から(e)の場合を除きます)におけるその後遺症による損害につき、その後遺症の該当する等級に応じた金額
自賠責保険