3
損害賠償の範囲のQ&A
(7)
(ヌ)
共同不法行為と過失相殺
Q:
数人の落ち度(過失)によって自動車事故が起きた場合の過失相殺の方法を教えてください
A:
1.
過失相殺
民法722条2項により、被害者に過失(落ち度)がある場合には、裁判所は、これを考慮して損害賠償額を算定することができます(過失相殺)。例えば、被害者に総額1000万円の損害が生じた場合でも、被害者側に3割の過失があれば、加害者の賠償すべき損害額は700万円になるということです。
民法722条2項により、被害者に過失(落ち度)がある場合には、裁判所は、これを考慮して損害賠償額を算定することができます(過失相殺)。例えば、被害者に総額1000万円の損害が生じた場合でも、被害者側に3割の過失があれば、加害者の賠償すべき損害額は700万円になるということです。
2.
共同不法行為
数人の過失によって自動車事故が起こった場合で、それぞれの過失から被害が発生することが通常あり得ないことではないという程度の関係(相当因果関係)があれば、それぞれにつき共同不法行為が成立します。
数人の過失によって自動車事故が起こった場合で、それぞれの過失から被害が発生することが通常あり得ないことではないという程度の関係(相当因果関係)があれば、それぞれにつき共同不法行為が成立します。
3.
共同不法行為と過失相殺共同不法行為が成立する場合の過失相殺の方法につき、判例は、「複数の加害者の過失および被害者の過失が競合する一つの交通事故において、その交通事故の原因となったすべての過失の割合(絶対的過失割合)を認定することができるときには、被害者の絶対的過失割合により過失相殺をした損害賠償額について、加害者らは連帯して共同不法行為に基づく賠償責任を負う」としました。
したがって、例えば、加害者甲、加害者乙、被害者丙の絶対的過失割合が5割、4割、1割で、丙に生じた損害額が1000万円の場合、1000万円×(10割-1割)=900万円について、甲と乙は連帯して賠償責任を負うことになります。
したがって、例えば、加害者甲、加害者乙、被害者丙の絶対的過失割合が5割、4割、1割で、丙に生じた損害額が1000万円の場合、1000万円×(10割-1割)=900万円について、甲と乙は連帯して賠償責任を負うことになります。
(ル)
自動車事故と医療過誤が競合する場合の過失相殺
Q:
自動車事故により被害者が重傷を負い、病院に搬送されたところ医療過誤で死亡した場合の過失相殺の方法について教えてください。
A:
1.
過失相殺
民法722条2項により、被害者に過失(落ち度)がある場合には、裁判所は、これを考慮して損害賠償額を算定することができます(過失相殺)。例えば、被害者に総額1000万円の損害が生じた場合でも、被害者側に3割の過失があれば、加害者の賠償すべき損害額は700万円になるということです。
民法722条2項により、被害者に過失(落ち度)がある場合には、裁判所は、これを考慮して損害賠償額を算定することができます(過失相殺)。例えば、被害者に総額1000万円の損害が生じた場合でも、被害者側に3割の過失があれば、加害者の賠償すべき損害額は700万円になるということです。
2.
共同不法行為
自動車事故と医療事故とのいずれもが被害者の死亡という一つの結果を招き、それぞれの事故から被害者の死亡という結果が発生することが通常あり得るという程度の関係(相当因果関係)がある場合には、加害車両の運転者と医師に共同不法行為が成立し、それぞれが被害者の損害の全額につき連帯して賠償する責任を負います。
自動車事故と医療事故とのいずれもが被害者の死亡という一つの結果を招き、それぞれの事故から被害者の死亡という結果が発生することが通常あり得るという程度の関係(相当因果関係)がある場合には、加害車両の運転者と医師に共同不法行為が成立し、それぞれが被害者の損害の全額につき連帯して賠償する責任を負います。
3.
過失相殺の方法
自動車事故と医療事故が競合する場合の過失相殺の方法は、それぞれ加害者や過失の内容は性質が異なるため、数人の過失により自動車事故が起きた場合の過失相殺の方法とは異なります。
自動車事故と医療事故が競合する場合の過失相殺の方法につき、判例は、「各不法行為の加害者と被害者との間の過失割合に応じてすべきものであり、他の不法行為者と被害者との間における過失の割合を斟酌して過失相殺をすることは許されない」としました。
すなわち、例えば、加害車両の運転者、医師、被害者の過失割合がそれぞれ5割、4割、1割の場合で、被害者に1200万円の損害が発生した場合、加害車両の運転者は1200万円×5割÷(5割+1割)=1000万円、医師は1200万円×4割÷(4割+1割)=960万円の限度でそれぞれ賠償責任を負うことになります。
自動車事故と医療事故が競合する場合の過失相殺の方法は、それぞれ加害者や過失の内容は性質が異なるため、数人の過失により自動車事故が起きた場合の過失相殺の方法とは異なります。
自動車事故と医療事故が競合する場合の過失相殺の方法につき、判例は、「各不法行為の加害者と被害者との間の過失割合に応じてすべきものであり、他の不法行為者と被害者との間における過失の割合を斟酌して過失相殺をすることは許されない」としました。
すなわち、例えば、加害車両の運転者、医師、被害者の過失割合がそれぞれ5割、4割、1割の場合で、被害者に1200万円の損害が発生した場合、加害車両の運転者は1200万円×5割÷(5割+1割)=1000万円、医師は1200万円×4割÷(4割+1割)=960万円の限度でそれぞれ賠償責任を負うことになります。
(ヲ)
過失相殺と損益相殺の順序
Q:
自動車事故の被害者が社会保険給付金を受け取った場合で、被害者自身にも落ち度(過失)があった場合、社会保険給付金による損益相殺後の損害額につき過失相殺されるのですか、それとも、過失相殺後の損害額から社会保険給付金により損益相殺されるのですか。過失相殺と損益相殺の順序につき教えてください。
A:
1.
労災保険給付金の場合
自動車事故の被害者が労災保険給付金を受け取った場合、賠償すべき損害額から保険給付金が控除されます(損益相殺)。
そして、被害者自身にも過失があり、過失相殺される場合の過失相殺と損益相殺の順序につき、判例は、過失相殺後に損益相殺を行うとしています。
そして、被害者自身にも過失があり、過失相殺される場合の過失相殺と損益相殺の順序につき、判例は、過失相殺後に損益相殺を行うとしています。
2.
健康保険給付金の場合
健康保険給付金の場合も、賠償すべき損害額から保険給付金が控除(損益相殺)されますが、過失相殺との順序は労災保険給付金の場合とは異なり、実務は、損益相殺後に過失相殺を行うとしています。
健康保険給付金の場合も、賠償すべき損害額から保険給付金が控除(損益相殺)されますが、過失相殺との順序は労災保険給付金の場合とは異なり、実務は、損益相殺後に過失相殺を行うとしています。
3.
障害厚生年金の場合
障害厚生年金についても損益相殺の対象になります。そして、過失相殺との順序は、損益相殺後に過失相殺されるのが実務の扱いです。
障害厚生年金についても損益相殺の対象になります。そして、過失相殺との順序は、損益相殺後に過失相殺されるのが実務の扱いです。
4.
自賠責保険金および任意保険金の場合
自賠責保険金や任意保険金も損益相殺の対象になります。そして、過失相殺との順序は、過失相殺後に損益相殺されることになります。
自賠責保険金や任意保険金も損益相殺の対象になります。そして、過失相殺との順序は、過失相殺後に損益相殺されることになります。
損益相殺