離婚のQ&A4|離婚に伴う財産分与
(5)
(イ)
離婚に伴う財産分与とは
Q:
離婚した場合の財産分与とは何でしょうか、教えてください?
A:
1.
離婚による財産分与の意義
離婚による財産分与とは、離婚に伴って、夫婦の一方から他方に対して財産を分け与えることをいい、協議離婚、離婚裁判のどちらの場合であっても財産分与の請求をすることができます。
そして、その内容としては、夫婦生活により築いてきた夫婦財産の清算(清算的要素)、離婚後生活に困窮する者に対する扶養(扶養的要素)、離婚に伴う損害賠償請求(慰謝料的要素)があります。
離婚による財産分与とは、離婚に伴って、夫婦の一方から他方に対して財産を分け与えることをいい、協議離婚、離婚裁判のどちらの場合であっても財産分与の請求をすることができます。
そして、その内容としては、夫婦生活により築いてきた夫婦財産の清算(清算的要素)、離婚後生活に困窮する者に対する扶養(扶養的要素)、離婚に伴う損害賠償請求(慰謝料的要素)があります。
2.
婚によって今後の生活が苦しくなってしまいます、財産分与によって生活費等を請求することはできるのでしょうか
3.
過去の婚姻費用の分担について
財産分与の要素としては、上記3つの要素が挙げられますが、過去の婚姻費用の分担、すなわち、未払い婚姻費用の分担も財産分与の内容となります。
財産分与の要素としては、上記3つの要素が挙げられますが、過去の婚姻費用の分担、すなわち、未払い婚姻費用の分担も財産分与の内容となります。
4.
請求期間
民法においては、裁判所に対しての財産分与の請求は、離婚時から2年間を経過した場合には請求できなくなってしまいます。そのため、協議離婚をした場合などには、財産分与の請求には期間制限があるので注意して下さい。
民法においては、裁判所に対しての財産分与の請求は、離婚時から2年間を経過した場合には請求できなくなってしまいます。そのため、協議離婚をした場合などには、財産分与の請求には期間制限があるので注意して下さい。
(ロ)
清算的要素
Q:
離婚による財産分与によって、どの夫婦の共同財産がどのような割合で分与されるのでしょうか(財産分与の清算的要素の対象・基準)?
A:
1.
財産分与の清算的要素の対象
夫婦生活より共同して得た財産は、財産分与の対象となります(財産分与の清算的要素)。すなわち、名義が誰であるかに関わらず、夫婦の一方が婚姻以前から有していた財産及び夫婦の一方が自己の名で得た財産(特有財産)以外の財産は、原則として財産分与の対象となります。
具体的には、夫の稼ぎで購入した夫名義不動産について、妻は専業主婦であったような場合には、妻の協力があってこそ夫は稼ぐことができたのであり、かかる不動産は財産分与の対象となります。他にも、退職金は対象になり、将来の退職金も支払われる蓋然性が高いような場合には対象になり得ます。また年金については、一定の場合に年金分割が可能になりました。
家事労働については、清算のときにその寄与分を考慮して清算することができる場合があります。妻が夫の資格取得に貢献した等の無形財産にあっても、このような妻の寄与を清算の時に考慮することができます。
夫婦生活より共同して得た財産は、財産分与の対象となります(財産分与の清算的要素)。すなわち、名義が誰であるかに関わらず、夫婦の一方が婚姻以前から有していた財産及び夫婦の一方が自己の名で得た財産(特有財産)以外の財産は、原則として財産分与の対象となります。
具体的には、夫の稼ぎで購入した夫名義不動産について、妻は専業主婦であったような場合には、妻の協力があってこそ夫は稼ぐことができたのであり、かかる不動産は財産分与の対象となります。他にも、退職金は対象になり、将来の退職金も支払われる蓋然性が高いような場合には対象になり得ます。また年金については、一定の場合に年金分割が可能になりました。
家事労働については、清算のときにその寄与分を考慮して清算することができる場合があります。妻が夫の資格取得に貢献した等の無形財産にあっても、このような妻の寄与を清算の時に考慮することができます。
2.
清算的要素の分与基準
分与基準は、共稼ぎ・家業従事・専業主婦のいずれの場合であっても原則として50%;50%とされ、そこに、特別な寄与分がある場合には、その点を考慮して、60%、70%とされています。
分与基準は、共稼ぎ・家業従事・専業主婦のいずれの場合であっても原則として50%;50%とされ、そこに、特別な寄与分がある場合には、その点を考慮して、60%、70%とされています。
(ハ)
扶養的要素
Q:
離婚によって今後の生活が苦しくなってしまいます、財産分与によって生活費等を請求することはできるのでしょうか。(財産分与の扶養的要素の対象・基準)?
A:
1.
財産分与の扶養的要素の対象
離婚をすることにより一方の生活が困窮してしまうような場合で、かつ、もう一方に相手方を扶養するだけの経済的余裕のある場合には、財産分与によって離婚後の扶養を認めることができます。その対象としては、多くの場合は金銭債権ですが、不動産を対象とすることもできます。
離婚をすることにより一方の生活が困窮してしまうような場合で、かつ、もう一方に相手方を扶養するだけの経済的余裕のある場合には、財産分与によって離婚後の扶養を認めることができます。その対象としては、多くの場合は金銭債権ですが、不動産を対象とすることもできます。
2.
扶養的要素の基準
困窮のケースとしては、高齢であるとか、監護を要する子がいる場合であるとか、病気である場合とかがあります。
高齢であるために生活に困窮する場合においての財産分与の額の基準としては、双方の収入の有無、年金の額、資産の有無、子供等による補助の期待の有無、年齢、再婚の可能性等の事情を総合考慮して判断されます。そして、多くの場合は、平均余命までの年数に月数万円(4万円から10万円が多いです。)を乗じた額を分与の額としています。
監護を要する子がいるため生活に困窮する場合は、本来は養育費の問題であるが、財産分与の中で検討することも可能です。そしてその額の判断基準としては、子供の教育状況、双方の収入の有無、資産の有無、再婚の可能性等の事情を総合考慮して判断されます。
病気のため生活に困窮す場合においての財産分与の額の判断基準としては、病気の重大性、入院の要否、双方の収入の有無、資産の有無、子供等による補助の期待の有無、再婚の可能性等の事情を総合考慮して判断されます。
困窮のケースとしては、高齢であるとか、監護を要する子がいる場合であるとか、病気である場合とかがあります。
高齢であるために生活に困窮する場合においての財産分与の額の基準としては、双方の収入の有無、年金の額、資産の有無、子供等による補助の期待の有無、年齢、再婚の可能性等の事情を総合考慮して判断されます。そして、多くの場合は、平均余命までの年数に月数万円(4万円から10万円が多いです。)を乗じた額を分与の額としています。
監護を要する子がいるため生活に困窮する場合は、本来は養育費の問題であるが、財産分与の中で検討することも可能です。そしてその額の判断基準としては、子供の教育状況、双方の収入の有無、資産の有無、再婚の可能性等の事情を総合考慮して判断されます。
病気のため生活に困窮す場合においての財産分与の額の判断基準としては、病気の重大性、入院の要否、双方の収入の有無、資産の有無、子供等による補助の期待の有無、再婚の可能性等の事情を総合考慮して判断されます。
(ニ)
慰謝料的要素
Q:
離婚の財産分与に際して、相手から受けた侮辱等の行為を斟酌することはできるのでしょうか?
A:
財産分与の慰謝料的要素
離婚による慰謝料としては、離婚原因を作った有責配偶者に対する慰謝料と離婚をすること自体から生じる慰謝料があります。
そして、慰謝料請求権は、相手方の有責不法な行為及び離婚という行為に対して損害賠償を請求することを目的とするものであるため、財産分与請求権とはその本質を異にするものではあるが、財産分与の要素に離婚に伴う損害賠償請求を含めることができると解されているので(慰謝料的要素)、財産分与において上記2つの慰謝料請求を考慮することができると解されています。
そのため、財産分与の慰謝料的要素として、相手方から受けた侮辱等の行為を斟酌して財産分与の額を定めることができます。
離婚による慰謝料としては、離婚原因を作った有責配偶者に対する慰謝料と離婚をすること自体から生じる慰謝料があります。
そして、慰謝料請求権は、相手方の有責不法な行為及び離婚という行為に対して損害賠償を請求することを目的とするものであるため、財産分与請求権とはその本質を異にするものではあるが、財産分与の要素に離婚に伴う損害賠償請求を含めることができると解されているので(慰謝料的要素)、財産分与において上記2つの慰謝料請求を考慮することができると解されています。
そのため、財産分与の慰謝料的要素として、相手方から受けた侮辱等の行為を斟酌して財産分与の額を定めることができます。
(ホ)
ローン付不動産の分与
Q:
離婚による財産分与において、ローンの付いている不動産を分与することは可能なのでしょうか?
A:
財産分与の方法
協議離婚において財産分与をする場合には、当事者の合意によって分与の方法は自由に決めることができますが、離婚裁判の場合には、裁判所の裁量によって相当と認められる分与の方法が決せられます。以下、分与の方法として裁判所が相当と認めたものを検討します。
不動産、動産等について金銭評価をして、不動産、動産等そのものを分与の対象とすることができます。
そして、不動産にローンが付いているような場合には、債務は原則として分与の対象とはならないため、その金銭評価が問題となりますが、不動産のローンのように、夫婦生活の中で生じた債務は、清算の対象になると考えます。よって、かかるローン付きの不動産であっても不動産の評価額から債務を控除した額を元に清算することができるので、かかる不動産を第三者に売却して残りの額を清算する、または、不動産そのものを分与することが可能です。
また、夫に不動産を分与するものの、その不動産に一定期間の間、妻子を住まわせるために、妻にその不動産の賃借権等の利用権を設定することが認められることもあります。
協議離婚において財産分与をする場合には、当事者の合意によって分与の方法は自由に決めることができますが、離婚裁判の場合には、裁判所の裁量によって相当と認められる分与の方法が決せられます。以下、分与の方法として裁判所が相当と認めたものを検討します。
不動産、動産等について金銭評価をして、不動産、動産等そのものを分与の対象とすることができます。
そして、不動産にローンが付いているような場合には、債務は原則として分与の対象とはならないため、その金銭評価が問題となりますが、不動産のローンのように、夫婦生活の中で生じた債務は、清算の対象になると考えます。よって、かかるローン付きの不動産であっても不動産の評価額から債務を控除した額を元に清算することができるので、かかる不動産を第三者に売却して残りの額を清算する、または、不動産そのものを分与することが可能です。
また、夫に不動産を分与するものの、その不動産に一定期間の間、妻子を住まわせるために、妻にその不動産の賃借権等の利用権を設定することが認められることもあります。
(ヘ)
金銭の分割払いによる分与
Q:
財産分与において、金銭を分与することになった場合に、金銭を一括ではなく分割して支払うことは可能なのでしょうか?
A:
財産分与の方法
協議離婚において財産分与をする場合には、当事者の合意によって分与の方法は自由に決めることができますが、離婚裁判の場合には、裁判所の裁量によって相当と認められる分与の方法が決せられます。
分与の方法として裁判所が認めたものとして、金銭の支払い方法としては、金銭を一括して支払う方法が原則的であり、将来相当の収入を得る可能性が高い場合には、その収入を得た時に一括して支払うとの分与の方法を相当としています。
もっとも、分与する側の経済状況等を考慮して、分割払いにより支払う方法、定期金払いにより支払う方法も相当と認められています。具体的には、生活費、子の養育費の支払いのような場合には、終期の定まっていない定期金払いの方法が相当と判断されています。また、定期金払いの場合において、妻が再婚するまでの間月額3万円支払うとのように、その期間を限定することも認められています。
協議離婚において財産分与をする場合には、当事者の合意によって分与の方法は自由に決めることができますが、離婚裁判の場合には、裁判所の裁量によって相当と認められる分与の方法が決せられます。
分与の方法として裁判所が認めたものとして、金銭の支払い方法としては、金銭を一括して支払う方法が原則的であり、将来相当の収入を得る可能性が高い場合には、その収入を得た時に一括して支払うとの分与の方法を相当としています。
もっとも、分与する側の経済状況等を考慮して、分割払いにより支払う方法、定期金払いにより支払う方法も相当と認められています。具体的には、生活費、子の養育費の支払いのような場合には、終期の定まっていない定期金払いの方法が相当と判断されています。また、定期金払いの場合において、妻が再婚するまでの間月額3万円支払うとのように、その期間を限定することも認められています。
(ト)
財産分与と税金
Q:
離婚による財産分与において、慰謝料1000万円と不動産を妻に分与することになりました、税金はかかるのでしょうか?
A:
1.
離婚に伴う財産分与と税金の関係について
離婚に伴う財産分与においての税金は、財産を分与する側と受ける側、そして財産が金銭であるか金銭以外であるかによってことなります。
離婚に伴う財産分与においての税金は、財産を分与する側と受ける側、そして財産が金銭であるか金銭以外であるかによってことなります。
2.
財産を分与する側の税金
まず、財産分与の対象が金銭・金銭債権等である場合には、税金はかかりません。
一方、財産分与の対象が金銭以外のものである場合には、譲渡所得税という税金が生じてしまいます。
もっとも、居住用不動産については一定の要件を満たすことで、数種の控除(居住用不動産についての特例・配偶者控除等)を受けることができます。
まず、財産分与の対象が金銭・金銭債権等である場合には、税金はかかりません。
一方、財産分与の対象が金銭以外のものである場合には、譲渡所得税という税金が生じてしまいます。
もっとも、居住用不動産については一定の要件を満たすことで、数種の控除(居住用不動産についての特例・配偶者控除等)を受けることができます。
3.
財産の分与を受ける側の税金
財産分与により無償で財産を受けることになるため贈与税がかかるとも思われますが、原則として財産分与において税金は生じません。もっとも、財産の分与が過当であると認められる場合や贈与もしくは相続税のほ脱を図ると認められる場合には、かかる分与は贈与にあたるとして贈与税が生じることになります。
過当であるか否かについては、ケースバイケースですが、財産分与の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であるかどうかによって判断されます。
ほ脱にあたるか否かについても、ケースバイケースですが、離婚理由もないのに離婚し財産分与をした後に、また再婚したような場合には、ほ脱にあたると認められると思います。
財産分与により無償で財産を受けることになるため贈与税がかかるとも思われますが、原則として財産分与において税金は生じません。もっとも、財産の分与が過当であると認められる場合や贈与もしくは相続税のほ脱を図ると認められる場合には、かかる分与は贈与にあたるとして贈与税が生じることになります。
過当であるか否かについては、ケースバイケースですが、財産分与の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であるかどうかによって判断されます。
ほ脱にあたるか否かについても、ケースバイケースですが、離婚理由もないのに離婚し財産分与をした後に、また再婚したような場合には、ほ脱にあたると認められると思います。
離婚に伴う財産分与