(1)
遺言事項
(イ)
意義
遺言は、 法律で定められた事項に限りなすことができる行為です。 遺言でなしうる事項を遺言事項といいます。
遺言事項は、 a.信託法上の信託の設定 (信託法 3 条 2 項)、 b.財産処分すなわち遺贈 (民法964条) 及び一般財団法人の設立・財産の拠出 (一般社団・財団法人 法 152 条2項、157 条1項)、 c.子の認知 (民法 781 条 2 項)、 d.相続人の廃除 又はその取消 (民法 893 条、 894 条 2 項)、 e.祭祀の承継者の指定 (民法 897 条)、 f.生命保険受取人の変更(保険法 44 条1項)、 g.遺言執行者の指定又は指定の 委託 (民法 1006 条1項)、 h.後見人又は後見監督人の指定 (民法 839 条1項及び 民法 848 条)、 i.相続分の指定又は指定の委託 (民法 902 条1項)、 j.遺産分割 方法の指定又は指定の委託 (民法908条)、 k.遺産分割の禁止 (民法908条)、 l. 相続人の担保責任の指定 (民法 914 条)とされています。
これら遺言事項は、 生前行為によってもなし得るものと遺言によってのみなし得 る行為とに分けることができます。
遺言事項は、 a.信託法上の信託の設定 (信託法 3 条 2 項)、 b.財産処分すなわち遺贈 (民法964条) 及び一般財団法人の設立・財産の拠出 (一般社団・財団法人 法 152 条2項、157 条1項)、 c.子の認知 (民法 781 条 2 項)、 d.相続人の廃除 又はその取消 (民法 893 条、 894 条 2 項)、 e.祭祀の承継者の指定 (民法 897 条)、 f.生命保険受取人の変更(保険法 44 条1項)、 g.遺言執行者の指定又は指定の 委託 (民法 1006 条1項)、 h.後見人又は後見監督人の指定 (民法 839 条1項及び 民法 848 条)、 i.相続分の指定又は指定の委託 (民法 902 条1項)、 j.遺産分割 方法の指定又は指定の委託 (民法908条)、 k.遺産分割の禁止 (民法908条)、 l. 相続人の担保責任の指定 (民法 914 条)とされています。
これら遺言事項は、 生前行為によってもなし得るものと遺言によってのみなし得 る行為とに分けることができます。
(ロ)
遺言によっても生前行為によってもなし得る行為
(a)
信託法上の信託 (信託法 3 条 2 項)
信託とは、 一定の目的に従って財産の管理又は処分をさせるために、 他人に財 産権の移転その他の処分をさせることをいいます (信託法 2 条1項)。
(b)
財産の処分すなわち遺贈 (民法964条) 及び一般財団法人の設立・財産の拠出 (一般社団・財団法人法 152 条 2 項、157 条1項)
財産の処分が全て許されるわけではなく、 例えば、 遺言によって借り入れをす るとか遺言により抵当権の設定契約をすることなどは認められません。 ただし、 遺言による債務免除は一種の遺贈であると考えられています。
(c)
子の認知 (民法 781 条 2 項)
任意認知は、 戸籍上の届出によって成立しますが (民法 781 条1項)、 遺言による認知の場合は、 遺言の効力が生じた時に認知の効力も生じます。
(d)
相続人の廃除又はその取消 (民法 893 条、 894 条 2 項)
(e)
祭祀の承継者の指定 (民法 897 条)
(f)
生命保険受取人の変更(保険法 44 条1項)
(ハ)
遺言によってのみなし得る行為
(a)
遺言執行者の指定又は指定の委託 (民法 1006 条)
執行者は、 一人でも数人でも構いません。 なお、 執行者が必要であるにも関わらず、 遺言による執行者の指定又は指定の委託がなされていない場合、 利害関係人の請求により家庭裁判所は執行者を選任することができます (民法 1010 条)。
(b)
後見人又は後見監督人の指定 (民法 839 条1項及び民法 848 条)
未成年者に対して、 最後に親権を行う者で管理権を有する者は、 遺言で後見人 又は後見監督人を指定することができます。
このように、 後見人又は後見監督人を指定する遺言は、 誰でもできるわけでは なく、 管理権を有する 「最後に親権を行う者」 のみがなし得ます。 したがって、 父母の共同親権に服している子については、 父母いずれも後見人指定の権能はな いことになります。
このように、 後見人又は後見監督人を指定する遺言は、 誰でもできるわけでは なく、 管理権を有する 「最後に親権を行う者」 のみがなし得ます。 したがって、 父母の共同親権に服している子については、 父母いずれも後見人指定の権能はな いことになります。
(c)
相続分の指定又は指定の委託 (民法 902 条1項)
民法は相続人の法定相続分を定めていますが (民法900条、 901条)、 被相続人は、 この法定相続分と異なる相続分を指定することができます。 なお、 遺留分については、 次項で詳述します。
(d)
遺産分割方法の指定又は指定の委託 (民法 908 条)
被相続人は、 遺言により妻には自宅土地建物、 長男には田畑、 長女には現預金 を与えるというように、 個々の財産をどのように配分するかを指定することがで きます。 また、 右のような現物分割による配分方法のみならず、 換価分割や代償 分割、 共有分割等、 分割方法を自由に指定することができます。
(e)
遺産分割の禁止 (民法 908 条)
被相続人は、 遺言により五年以内の期間を定めて、 遺産の分割を禁止することができます。
このような遺言がある場合、 共同相続人は、 その期間は協議による分割はもちろんのこと、 調停、 審判の申立もできません。
このような遺言がある場合、 共同相続人は、 その期間は協議による分割はもちろんのこと、 調停、 審判の申立もできません。
(f)
相続人の担保責任の指定 (民法 914 条)
共同相続人は、 それぞれ他の共同相続人に対し、 売主と同様の担保責任を負います (民法 911 条)。 また、 ある共同相続人が相続財産中の債権を取得した場合、 他の共同相続人は、 分割時もしくは弁済時における債務者の資力を担保しなけれ ばなりません (民法 912 条)。 さらに、 この担保責任を負う共同相続人中に資力 を有しない者があるときは、 他の全ての共同相続人が償還不能となった部分の償 還を担保しなければなりません (民法 913 条)。
以上のような共同相続人間の担保責任を被相続人が変更することができるとさ れているのです (民法 914 条)。
以上のような共同相続人間の担保責任を被相続人が変更することができるとさ れているのです (民法 914 条)。