(1)
任意後見契約は基本的には当事者間の合意で決められる委任契約ですので、任意後見人は、この契約に定められた事務を行います。任意後見契約では事実行為を委任することができないことは前述のとおりです。
委任することができる事務としては、預貯金の管理、介護契約・医療契約の締結、訴訟行為の委任など様々なものが考えられます。
委任することができる事務としては、預貯金の管理、介護契約・医療契約の締結、訴訟行為の委任など様々なものが考えられます。
(2)
費用、報酬
(イ)
任意後見の事務の費用
任意後見契約は委任契約ですので、費用については、民法の委任についての費用の規定に従います(民法第649条、650条)。任意後見事務の費用は本人が支払います。また、事前に任意後見人は費用の前払いを求めることもできますし、一時的に任意後見人自身が支払った(立て替えた)ときは後で本人に請求できます。
(ロ)
任意後見人の報酬
報酬についても、民法の委任の規定に従うのですが、民法上委任契約は原則として無償のものとされています(民法第648条1項)。親族が任意後見人になる場合は無報酬でもよいかもしれませんが、法人や複数の人が任意後見人になるような場合は、報酬が必要となることが多くなってくるでしょう。そうした場合は特約で報酬の定めを結んでおくことが必要です。
(3)
任意後見人の義務
任意後見契約は委任契約ですので、任意後見人は民法上の委任契約の受任者が負わされている善管注意義務(民法第644条)を負います。
また、認知症の高齢者、障害者といった本人の保護をするには身上に関係する行為も多くしなければならないでしょうから、法定後見制度の場合と同じように、身上配慮義務を負うことが法律上明らかにされています(任意後見契約法第6条)。
また、認知症の高齢者、障害者といった本人の保護をするには身上に関係する行為も多くしなければならないでしょうから、法定後見制度の場合と同じように、身上配慮義務を負うことが法律上明らかにされています(任意後見契約法第6条)。
任意後見人の代理権の範囲