定期借家権の施行により、 賃貸市場が活発になることで、 都心部での賃貸ビジネスのための土地の売買も盛んとなり、 都市の再開発・活性化が図られ、 都市の状況も今後大きく変化してゆくと考えられます。 具体的な変化としては、
などがあります。 以下それぞれの項目について説明します。
(1)
都心部で賃貸用の中高層集合住宅が増加する。
(2)
都市部や都市近郊部の、 企業の遊休地が定期借家契約による賃貸住宅として開発され、 街づくりもあわせた大規模な都市再開発、 都市中心部の再生が図られる。
(3)
賃貸事業が事業として成り立つようになるため、 不動産の証券化事業が活発となる。
(4)
商店街などの中の遊休店舗が賃貸物件として供給されることで、 商店街の活性化・再生につながる。
(5)
ライフスタイルに合わせて、 住居の場所、 住居の広さを選択し、 移動することが加速され、 新しい型のコミュニティーが発生する。
などがあります。 以下それぞれの項目について説明します。
(1)
都心部で賃貸用の中高層集合住宅が増加する。
都心部の土地は土地の単価が高く、 高度利用も可能な土地であっても、 旧来の借地借家法のもとで集合住宅、 特に一戸当りの床面積の広いファミリー系の集合住宅の用に供することは、 殆ど検討されなかったといえます。 それは、 正当事由制度による解約制限と、 継続賃貸家賃抑制主義が原因で、 将来の明渡しの見通しが立たないことと、 明渡費用が多額になること、 そして、 賃借人の居住期間が長ければ長いほど、 市場の実勢賃料から低いほうにかい離してしまうため、 事業として成り立ちにくいためでした。 従って、 都心にできるのはオフィスビルか分譲マンションまたはワンルームマンションばかりという状況になっています。
しかし、 定期借家権の対象となる借家の場合、 上記の問題が全て解消しますので、 オフィスビルより景気に左右されない住宅で、 しかも長期間安定的な借主であるファミリー系をターゲットとした中高層集合住宅が増加すると予想されます。 このことにより、 都心への人口の回帰、 職住接近、 商業施設の活性化が図られます。 また、 高齢者にとっても、 都心の賃貸マンションは様々な施設への利便性が高いので好まれ、 高齢者の都心回帰も加速されると予想されます。
しかし、 定期借家権の対象となる借家の場合、 上記の問題が全て解消しますので、 オフィスビルより景気に左右されない住宅で、 しかも長期間安定的な借主であるファミリー系をターゲットとした中高層集合住宅が増加すると予想されます。 このことにより、 都心への人口の回帰、 職住接近、 商業施設の活性化が図られます。 また、 高齢者にとっても、 都心の賃貸マンションは様々な施設への利便性が高いので好まれ、 高齢者の都心回帰も加速されると予想されます。
(2)
都市部や都市近郊部の、 企業の遊休地が定期借家契約による賃貸住宅として開発され、 街づくりもあわせた大規模な都市再開発、 都市中心部の再生が図られる。
現在の都市部、 都市近郊部には、 企業が所有する土地が沢山あります。 工場等の広大な土地もあれば、 好立地の狭い土地もあります。 企業は自己の本来の目的のためにその土地を保有し、 利用するわけですが、 時代の変化の中で、 企業の本来の目的のためにはいらなくなった土地が遊休地と言われるもので、 保有コストとしての固定資産税の負担に悩みながら、 その活用方法を模索している企業が非常に多くあります。 これらの土地が定期借家契約による賃貸住宅として開発されることになると予想されています。 小規模 (一戸当りの敷地面積200㎡以下) 住宅用地の場合、 固定資産税は6分の1、 都市計画税は3分の1になりますので、 賃貸住宅の敷地にしただけで、 土地の保有コストが劇的に減少することになります。
また、 定期借家契約の場合、 賃料が経済の実勢にほぼ連動して動くことや、 明渡しトラブルがないことなどから、 企業が事業として取り組みやすい有効活用の手段となるわけです。
特に広大な工場跡地などは、 街づくりもあわせた大規模な再開発になり、 コンビニエンスストアやショッピングセンター、 医療施設、 娯楽施設も含めた魅力ある競争力のある街づくりが行われると予想されます。
また、 定期借家契約の場合、 賃料が経済の実勢にほぼ連動して動くことや、 明渡しトラブルがないことなどから、 企業が事業として取り組みやすい有効活用の手段となるわけです。
特に広大な工場跡地などは、 街づくりもあわせた大規模な再開発になり、 コンビニエンスストアやショッピングセンター、 医療施設、 娯楽施設も含めた魅力ある競争力のある街づくりが行われると予想されます。
(3)
賃貸事業が、 事業として成り立つようになるため、 不動産の証券化事業が活発となる。
旧来の借地借家法における2つの大きな問題点である正当事由による解約制限と継続賃料抑制主義が、 定期借家権の対象となる借家では解消されますので、 住宅賃貸事業は非常に魅力のあるものとなります。 そのため、 資金力を持って投資先を捜している人や企業と、 土地は持っているが有効活用する資金力がない人や企業がお互いに補完し合って、 事業化する不動産特定共同事業法やSPC法や会社型投信などの不動産証券化による有効活用が住宅賃貸事業で大きく成長すると予想されます。
(4)
商店街などの中の遊休店舗が賃貸物件として供給されることで、 商店街の活性化・再生につながる。
商店街内の遊休店舗が賃貸物件として供給されますと、 利便性や顧客へのアクセスの良さから、 新しいタイプのビジネスを展開する企業が、 借り手としてあらわれてくると予想されます。 これらの動きは、 旧来の商店街の活性化や再生につながるものと予想されます。
(5)
ライフスタイルに合わせて、 住居の場所、 住居の広さを選択し、 移動することが加速され、 新しい型のコミュニティーが発生する。
日本の社会は、 農耕民族の社会であり、 定住性の生活をこれまで原則として行ってきたと言われています。 これが村社会であったり地縁というコミュニティーだったのですが、 大都市が形成され、 全国から人々が都市やその近郊に移動しはじめた時から既に、 地域のコミュニティーというものは大幅に薄められてきました。 定期借家権の対象となる借家が普及し、 様々な種類の借家が提供されるようになりますと、 今より以上に多くの人が簡単に居を転ずることになると予想されます。 この結果、 全く新しいタイプのコミュニティーが発生してくると予想されます。 それは地縁に基づくコミュニティーではなく、 住みやすさ、 環境の良さ、 利便性の良さ、 文化度の高さなどが判断の基準となるコミュニティーだと予想されます。