⑴
製造物責任法は、製造物を業として輸入した者(輸入業者)も「製造業者」として製造物責任を負う旨規定しました(製造物責任法2条3項1号)。
輸入業者を責任主体に加えたのは、
等の理由によるものと解されます。
輸入業者を責任主体に加えたのは、
(イ)
輸入業者は自らの意志により製造物を国内市場に流入させるものであり、国内の流通過程における始点に位置していること
(ロ)
もし輸入業者を責任主体に加えないとすると、外国製品の欠陥から損害を受けた一般消費者は当該外国の製造業者に対し製造物責任を問わなければならないことになるが、それには困難が多いこと
(ハ)
輸入業者は製造物責任を問われたとしても、輸入契約において外国の製造業者ないし販売業者に対する求償権を留保することが可能であり、輸入業者を責任主体に加えることは必ずしも輸入業者に酷ではないこと
等の理由によるものと解されます。
⑵
諸外国の立法例
輸入業者を製造物責任に加える点は、ほとんどの国々の立法及び判例において採用されています。例としては、下記のものがあります。
(イ)
アメリカ合衆国
ワシントン州最高裁判所、シアトル・ファースト・ナショナル銀行事件判決
(ロ)
イギリス
消費者保護法2条⑵(c)
(ハ)
ドイツ
製造物責任法4条⑵
製造物責任法の規定と立法趣旨