⑴
メーカーは、通常設計図に従って製品を製造しますが、もし設計そのものに欠陥があれば、自動的に欠陥製造物ができ上がってしまいます。逆に設計段階で製品の安全性に対する入念なチェックを行えば、製造過程に特段の異常がない限り、安全な製造物が完成されます。実際にも、製造物責任が問われる欠陥製造物の大半は、その設計に問題があると言っても過言ではありません。
このように、設計段階での製品安全対策は、極めて重要であるといわなければなりません。また、設計図が作成される前段階には、製品企画及び研究開発の過程が存在し、これらが設計に反映されてくることを考えれば、企画開発段階における製品安全対策も、設計段階におけるそれ以上に重要な位置を占めていることになります。
このように、設計段階での製品安全対策は、極めて重要であるといわなければなりません。また、設計図が作成される前段階には、製品企画及び研究開発の過程が存在し、これらが設計に反映されてくることを考えれば、企画開発段階における製品安全対策も、設計段階におけるそれ以上に重要な位置を占めていることになります。
⑵
企画・開発・設計段階での製品安全対策の項目と内容
科学技術の進歩に伴い、製品の機能や性能が高度化するにつれて、製品の有する危険性も増加し、多くの場合、その危険性は潜在化してきていると言われています。つまり、消費者にも製造者自身にも予想のつかない危険が製品に内在していることがあり得るわけです。
そこで、これから製造しようとする製品に潜在する危険を発見し、事前にこれを排除することが、企画・開発・設計段階における製品安全対策の中心的課題となります。具体的な対策の内容は以下のとおりです。
そこで、これから製造しようとする製品に潜在する危険を発見し、事前にこれを排除することが、企画・開発・設計段階における製品安全対策の中心的課題となります。具体的な対策の内容は以下のとおりです。
(イ)
関連法規等の遵守
その製品に関する法律及び国や地方自治体の定めた安全基準を守り、これをクリアすることは最低限必要です。但し、言うまでもなくこれを遵守したというだけでは、メーカーは免責されません。
(ロ)
危険分析
危険分析とは、製品によって発生するであろう危険性を事前に認識するための各種の実験及び評価のシステムです。すなわち、その製品から生じるであろう事故の態様、被害の程度及び事故の頻度を想定し、そこから遡ってその事故の原因を導き出すという手法です。
なお、危険分析は、その製品の使用される形態を前提として行なわれる必要があります。具体的には「メーカーが予定している使用形態」と「メーカーが予定していないが、合理的に予測可能な誤使用」の二つの使用形態を想定して実用実験及び評価を行う必要があります。
なお、危険分析は、その製品の使用される形態を前提として行なわれる必要があります。具体的には「メーカーが予定している使用形態」と「メーカーが予定していないが、合理的に予測可能な誤使用」の二つの使用形態を想定して実用実験及び評価を行う必要があります。
(ハ)
重要保安部品の特定
製品の部品のうち、製品の安全性を確保するうえで重要な部品でこれに欠陥があれば重大な事故が発生すると予想されるもの(重要保安部品)を選択し、それについては設計上特別な注意を払うことが必要です。
例えば、重要保安部品は、一般に寿命の長いものであること及びそれが損耗した場合には、交換できるような構造にしておくことが必要です。
ある部品が、重要保安部品であるか否かを判定するに際しては、同種の製品についての過去に発生した事故の原因を分析することも有用となります。
例えば、重要保安部品は、一般に寿命の長いものであること及びそれが損耗した場合には、交換できるような構造にしておくことが必要です。
ある部品が、重要保安部品であるか否かを判定するに際しては、同種の製品についての過去に発生した事故の原因を分析することも有用となります。
(ニ)
人間工学の採用
人間工学は、ある製品と製品を使用する人間との間の適合性を追及する学問分野です。製造物責任の予防という観点からすると、その製品がどのような人間にどのような使用方法で使用されるかを事前に検討したうえで、これら各種の使用方法を想定して、製品の安全性をチェックしていかなければなりません。
(ホ)
安全装置
危険分析の結果、製品に危険性があると判定された場合、まず第1にその危険性の除去又は軽減を検討すべきですが、設計上危険性の除去又は軽減ができない場合は、製品に安全装置を組み込み、又は付加することが必要になります。
企画・開発・設計段階での製品安全対策の重要性