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(1)
買収対価の合理性
企業買収をするのは、対象会社に財産的、経営的な魅力があることを認めるからです。投資とはそういうものでしょう。もちろん、ときには不良会社を買収することもあります。
株式を買うためには対価が安くなければ良い買物とはいえません。それゆえ、将来性があって株価が比較的安い会社が買収の対象として狙われます。
一方で将来性がある会社ならば、その株価が安いはずはないとも思えます。しかし、例えば、会社の収益状態は良好で未来も明るいけれども、実際にはお座なりの配当しかしていないという会社の場合はどうでしょう。この場合には、会社に留保されている財産が多額になり、そのことが株価に反映されるはずですが、逆に配当が少ないという点に投資家の神経が集中しますと、株価は安めに定着することになります。このような場合に、株式を購入するために安い対価を支払っただけで、実質的に高価な財産を有する会社を支配することができるという、企業買収決断の構図ができ上がるのです。これは一つの例であって、他にも買収の原因は多々あります。
会社が発行している株式の時価総額が、その会社が保有している諸々の財産の価値よりも安ければ、安価な株式購入資金で高価な会社を取得できるという計算になります。ましてや、株式を全部取得しなくとも3分の2程度を取得するだけで会社を実質的に支配することができるのですから、良い買物になります。
国際的には、日本の会社は時価総額が相対的に低いとみられています。各種の経営指標の中でPBR(株価資産倍率)の低い会社が、買収対象会社として注目されます。
株式を買うためには対価が安くなければ良い買物とはいえません。それゆえ、将来性があって株価が比較的安い会社が買収の対象として狙われます。
一方で将来性がある会社ならば、その株価が安いはずはないとも思えます。しかし、例えば、会社の収益状態は良好で未来も明るいけれども、実際にはお座なりの配当しかしていないという会社の場合はどうでしょう。この場合には、会社に留保されている財産が多額になり、そのことが株価に反映されるはずですが、逆に配当が少ないという点に投資家の神経が集中しますと、株価は安めに定着することになります。このような場合に、株式を購入するために安い対価を支払っただけで、実質的に高価な財産を有する会社を支配することができるという、企業買収決断の構図ができ上がるのです。これは一つの例であって、他にも買収の原因は多々あります。
会社が発行している株式の時価総額が、その会社が保有している諸々の財産の価値よりも安ければ、安価な株式購入資金で高価な会社を取得できるという計算になります。ましてや、株式を全部取得しなくとも3分の2程度を取得するだけで会社を実質的に支配することができるのですから、良い買物になります。
国際的には、日本の会社は時価総額が相対的に低いとみられています。各種の経営指標の中でPBR(株価資産倍率)の低い会社が、買収対象会社として注目されます。
(2)
経営者と買収者のいずれを優先させるのか
もし、経営者が会社の余剰資金から多額の報酬を取得したり、従業員が多額の給料を支払ってもらったりしていて、株主への配当が相対的に少ないという状態の会社があれば、このような状態を是正しようという買収者が現れてくることに意味が出てくるでしょう。そうでなくとも、現在の経営者のやり方は非効率である、現有資産が有効に活用されていない、だから自分が乗っ取って会社経営を立て直す、という買収者が現れても、それが本当であり可能なことであれば、否定すべきことではないのです。
現経営者と買収者のいずれに軍配を上げるのが良いのか、それを誰が決めるのか、いずれも大きな問題です。
会社制度は、株主、経営者、従業員、外部の投資家など立場の異なる複数の人々の緊張状態をテコにして成立しています。民営化のメリットが叫ばれる時代には、株式会社制度が有するこのような機能に大きな期待がかかります。
現経営者と買収者のいずれに軍配を上げるのが良いのか、それを誰が決めるのか、いずれも大きな問題です。
会社制度は、株主、経営者、従業員、外部の投資家など立場の異なる複数の人々の緊張状態をテコにして成立しています。民営化のメリットが叫ばれる時代には、株式会社制度が有するこのような機能に大きな期待がかかります。
なぜ買収をするのか