会社分割の知識7|会社分割の法律上の規制ー独占禁止法

企業法務ガイド|会社分割

第1編

会社分割の法律実務

第3

会社分割の法律上の規制

4

独占禁止法

(1)
概略
独占禁止法は私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法等を禁止して、公正かつ自由な競争を促進し、消費者の利益を確保するとともに、国民経済の健全な発達を促進することを目的としています。
そのため、市場を過度に支配する会社の誕生を禁じ、一定の取引分野の競争が実質的に制限されないように規制をしています。そこで、共同新設分割と吸収分割のうち、一定の会社分割の場合には、独占禁止法により、公正取引委員会に対する届出義務が定められています(独占禁止法15条の2第2項)。そして、届出受理の日から30日を経過するまでは会社分割を行うことはできません(独占禁止法15条の2第7項、15条5項)。
したがって、会社分割が独占禁止法の規定に抵触する可能性がある場合は、会社分割計画の段階から必要に応じて公正取引委員会に事前相談をしておくことが重要です。
(2)
届出を要する共同新設分割
公正取引委員会に対し、分割届出をする必要がある共同新設分割は次のような場合です。
原則として、共同新設分割によって事業の全部を承継させようとする分割会社の総資産合計額(子会社およびその会社の総株主の議決権の過半数を有する会社の総資産額を含みます)が100億円を超える場合であり、かつ、事業の全部を承継させようとする他の分割会社の総資産合計額が10億円を超える等の場合(独占禁止法15条の2第3項、施行令17条)。
ただし、当事会社のいずれかの会社が他のすべての会社のそれぞれの総株主の議決権の過半数を有している等の一定の場合には届出は必要ありません(独占禁止法15条の2第4項)。
(3)
届出を要する吸収分割
公正取引委員会に対し、分割届出をする必要がある吸収分割は次のような場合です。
原則として、吸収分割によって事業の全部を承継させようとする分割会社の総資産合計額(子会社およびその会社の総株主の議決権の過半数を有する会社の総資産額を含みます)が100億円を超える場合であり、かつ、承継会社の総資産総合計額が10億円を超える等の場合(独占禁止法15条の2第7項、施行令17条)。
ただし、当事会社のいずれかの会社が他のすべての会社のそれぞれの総株主の議決権の過半数を有している等の一定の場合には届出は必要ありません(独占禁止法15条の2第4項)。

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