第2編
会社分割の会計実務
第1
1
吸収分割会社の会計処理
(1)
概要
吸収分割においては、分割会社がその事業に関して有する権利義務を承継会社に承継させ、その対価を受領します。当該会計処理、吸収分割会社が発行していた新株予約権の消滅の会計処理、そして受領した対価の株主への分配の会計処理の3つが会計処理の対象となります。
吸収分割においては、分割会社がその事業に関して有する権利義務を承継会社に承継させ、その対価を受領します。当該会計処理、吸収分割会社が発行していた新株予約権の消滅の会計処理、そして受領した対価の株主への分配の会計処理の3つが会計処理の対象となります。
(2)
分割対価の受領
承継させる資産・負債の対価の決定は、次の3通りの場合があります。
承継させる資産・負債の対価の決定は、次の3通りの場合があります。
(イ)
その時の時価で算定
(ロ)
分割対価の帳簿価額で算定
(ハ)
承継させる財産の帳簿価額で算定
移転損益に関しては、(イ)と(ロ)では、対価と承継させた財産の帳簿価額の差額を計上します。(ハ)の場合には移転損益は生じません。
(3)
新株予約権の扱い
吸収分割において、分割会社の新株予約権を承継会社に承継させることは認められていません(会社法758条2号)。しかし分割会社の新株予約権者保護の観点から、分割会社の新株予約権者に対して、分割会社の新株予約権に代えて承継会社の新株予約権を交付することができます。この場合、分割会社の新株予約権は会社分割の効力発生日に消滅することになります。吸収分割会社においては、新株予約権の消滅に伴い当該新株予約権の帳簿価額が減少し、当該免除益は課税所得となるため、その税効果調整相当額を控除した部分が利益となります。
吸収分割において、分割会社の新株予約権を承継会社に承継させることは認められていません(会社法758条2号)。しかし分割会社の新株予約権者保護の観点から、分割会社の新株予約権者に対して、分割会社の新株予約権に代えて承継会社の新株予約権を交付することができます。この場合、分割会社の新株予約権は会社分割の効力発生日に消滅することになります。吸収分割会社においては、新株予約権の消滅に伴い当該新株予約権の帳簿価額が減少し、当該免除益は課税所得となるため、その税効果調整相当額を控除した部分が利益となります。
(4)
分割対価の株主に対する分配
いわゆる人的分割は、物的分割たる会社分割と、分割会社が分割対価として受領した財産の分配、という2つの取引に分けて考えることになります。分配の方法は剰余金の配当と全部取得条項付種類株式の取得の2通りがあります。
分割型吸収分割であって対価の全部が承継会社の株式であり、分割対価の全部を株主に分配する場合で、分割会社と承継会社が共通支配下関係にあるときには、承継会社の株主資本の各項目について適当な増減額を定めることができる(会社計算規則64条1項)という特別な規定があります。承継会社でそのような会計処理をした場合には、分割会社でもその増減に対応した整合性の取れた処理をすることが求められます。
いわゆる人的分割は、物的分割たる会社分割と、分割会社が分割対価として受領した財産の分配、という2つの取引に分けて考えることになります。分配の方法は剰余金の配当と全部取得条項付種類株式の取得の2通りがあります。
分割型吸収分割であって対価の全部が承継会社の株式であり、分割対価の全部を株主に分配する場合で、分割会社と承継会社が共通支配下関係にあるときには、承継会社の株主資本の各項目について適当な増減額を定めることができる(会社計算規則64条1項)という特別な規定があります。承継会社でそのような会計処理をした場合には、分割会社でもその増減に対応した整合性の取れた処理をすることが求められます。
(5)
分割会社の自己株式の処分
分割会社がその有する自己株式を承継会社に承継させることも可能であり、その場合には自己株式の処分と同様の処理をします。
分割会社がその有する自己株式を承継会社に承継させることも可能であり、その場合には自己株式の処分と同様の処理をします。
吸収分割の会計処理