第3編
会社分割の税務実務
第3
1
分割法人が有する繰越欠損金の分割承継法人への引継ぎ
分割法人が有する繰越欠損金の分割承継法人への引継ぎ合併類似適格分割型分割が行われた場合には、分割法人の分割の日前7年以内に開始した各事業年度において発生した繰越青色欠損金額のうち、分割法人において既に控除された金額及び繰り戻し還付の計算の基礎とされた金額以外の欠損金額(以下「未処理欠損金額」といいます。)は、分割承継法人に引き継がれます。引き継がれた分割法人の未処理欠損金額は、分割承継法人の繰越欠損金額とみなして、原則、分割事業年度以後の各事業年度において損金算入することが認められています。
2
分割法人が有する繰越欠損金の引継ぎ制限
分割直前に欠損をかかえる会社と特定資本関係を結び、分割承継法人が分割法人の繰越欠損金の損金算入を行うような租税回避行為を防ぐために、その特定資本関係が分割承継法人の分割の日の属する事業年度開始の日の5年前の日以後に生じている場合において、その分割が共同で事業を営むための分割でないときは、次に掲げる欠損金額は、分割承継法人に引き継ぐことができません。ただし、分割法人が特定資本関係事業年度の前事業年度末に一定の含み益を有していれば、共同事業を営むための分割でなくても、その含み益に対応する部分の未処理欠損金額は利用できるという特例があります。
(1)
特定資本関係事業年度前に生じた分割法人の未処理欠損金額
(2)
特定資本関係事業年度以後の分割法人の未処理欠損金額のうち、「特定資産の譲渡等損失額相当額」(特定資本関係開始前に分割法人又は分割承継法人が有していた一定の含み損のある不良資産を分割後に分割承継法人において譲渡等し、顕在化させた損失のことをいいます)から成る部分の金額
3
分割承継法人が有する繰越欠損金の控除の制限
分割法人の繰越欠損金について、引継ぎ制限の規定が設けられていることから、これを逆手に取り分割承継法人が有する繰越欠損金を利用する租税回避行為を防止するため、その特定資本関係が分割事業年度開始の日の5年前の日以後に生じている場合には、分割承継法人の次に掲げる欠損金額は、繰越控除ができません。ただし、分割承継法人が特定資本関係事業年度の前事業年度末に一定の含み益を有していれば、共同事業を営むための分割でなくても、その含み益に対応する部分の未処理欠損金額は利用できるという特例があります。
(1)
特定資本関係事業年度前に生じた分割承継法人の未処理欠損金額
(2)
特定資本関係事業年度以後の分割承継法人の未処理欠損金額のうち、「特定資産の譲渡等損失額相当額」(特定資本関係開始前に分割法人又は分割承継法人が有していた一定の含み損のある不良資産を分割後に分割承継法人において譲渡等し、顕在化させた損失のことをいいます。)から成る部分の金額
繰越欠損金の取扱い