離婚の知識4|DVによる離婚 (7) いわゆるDV(家庭内暴力)を受けている場合、ストーカーをされている場合についてはどのようにしたらいいでしょうか 配偶者から暴力の防止及び被害者の保護に関する法律という、一般にDV法(DV防止法)といわれている法律があります。 この法律の前文に、「配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかった。また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。」と書かれています。 このようにDVは犯罪行為をも含む重大な人権侵害行為です。憲法に定められた個人の尊厳を害するものであることはいうまでもありません。 もちろん、DVをふるった夫が「言うことを聞かない妻が悪い」などと正当化できるものではありません。ことは明らかな人権侵害なのです。 DV被害者(ここでは多くの例のように女性を想定しています)はどうしたらいいのでしょうか。 各都道府県には、配偶者暴力相談支援センターの役割を果たす相談センターが設けられています。大阪府の場合、大阪府女性相談センター(電話番号:06-6725-8511)という名称で置かれています。大阪府の相談担当者は女性の相談員です。市町村でも同種の相談センターを置いているところもあります。一つはここで相談してみることです。 暴力がひどい場合、一時的に安全を確保する場所(いわゆるシェルター)についても相談に乗ってもらえると思います。 それから、以前は警察はDV事案については、いわゆる夫婦喧嘩との区別がつきにくいこともあったことから、相談にはあまり乗ってくれなかったということがあったかもしれませんが、DV法には警察官による被害の防止等についても規定があり、警察も相談に乗ってくれます。 どこに相談するにせよ、あるいは相談しないにせよ、けがをさせられたような場合、診断書の入手が可能であれば是非入手しておくといいでしょう。診断書は、離婚の調停や裁判でも証拠として使えることも少なくありません。 更には、暴力等がひどい場合、裁判所に保護命令を出してもらうという方法もあります。 裁判所(地方裁判所の管轄<担当>事件です)が出す保護命令の内容は、 (イ) 6か月間の接近禁止命令 6か月間、住居や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。 (ロ) 2か月間の退去命令 夫婦が同居している場合、妻(夫)が引越し等の準備のため、2か月間、夫(妻)に対して、家から出ていくことを命じ、その家の付近をうろつくことを禁止する命令です。 (ハ) 子への接近禁止命令 6か月間、夫(妻)に対し、妻(夫)と同居している子の身辺につきまとったり、住居や通学先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。 (二) 親族等への接近禁止命令 6か月間、親族等の身辺につきまとったり、住居や勤務先の付近をうろつくことを禁止する命令です。 (ホ) 電話等の禁止命令 6か月間、夫(妻)から妻(夫)に対する面会要求、無言電話や深夜の電話、メール、FAXなどの迷惑行為を禁止する命令です。 があります。 上記のうち、(ハ)(二)(ホ)については(イ)(ロ)の付随的なものですので、(イ)(ロ)と同時に命令してもらうか、(イ)(ロ)の命令が出ているときに発令してもらうことができることになっています。(ハ)(二)(ホ)は単独で発令してもらうことはできません。 また、裁判所から保護命令を出してもらうには、原則として、事前に配偶者暴力相談支援センター又は警察に相談していることが必要です。保護命令の申立書には、このような相談に行ったことを記載する欄があります。保護命令の申立書については「保護命令」の言葉で検索すればインターネット上で書式を見ることができます。これを見ますと具体的にどのようにすれば保護命令の申立ができるのかよくわかると思います。 離婚をしようと思っても夫からの暴力が怖くて仕方がないというようなときには、このように保護命令を得てから調停の申立をするなどの方法も考えていいと思います。 家庭裁判所は、暴力が予想されるようなケースでは、例えば調停の部屋を夫と妻と別々にするなど、暴力事件などが起きないよう種々に配慮していますが、特に保護命令が出ているケースではより慎重にしてくれると思います。保護命令が出ている場合は、是非、調停申立の際そのことを裁判所に伝えてください。家庭裁判所では地方裁判所で出された保護命令のことは知らないのがふつうです。
いわゆるDV(家庭内暴力)を受けている場合、ストーカーをされている場合についてはどのようにしたらいいでしょうか
配偶者から暴力の防止及び被害者の保護に関する法律という、一般にDV法(DV防止法)といわれている法律があります。この法律の前文に、「配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかった。また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。」と書かれています。
このようにDVは犯罪行為をも含む重大な人権侵害行為です。憲法に定められた個人の尊厳を害するものであることはいうまでもありません。
もちろん、DVをふるった夫が「言うことを聞かない妻が悪い」などと正当化できるものではありません。ことは明らかな人権侵害なのです。
DV被害者(ここでは多くの例のように女性を想定しています)はどうしたらいいのでしょうか。
各都道府県には、配偶者暴力相談支援センターの役割を果たす相談センターが設けられています。大阪府の場合、大阪府女性相談センター(電話番号:06-6725-8511)という名称で置かれています。大阪府の相談担当者は女性の相談員です。市町村でも同種の相談センターを置いているところもあります。一つはここで相談してみることです。
暴力がひどい場合、一時的に安全を確保する場所(いわゆるシェルター)についても相談に乗ってもらえると思います。
それから、以前は警察はDV事案については、いわゆる夫婦喧嘩との区別がつきにくいこともあったことから、相談にはあまり乗ってくれなかったということがあったかもしれませんが、DV法には警察官による被害の防止等についても規定があり、警察も相談に乗ってくれます。
どこに相談するにせよ、あるいは相談しないにせよ、けがをさせられたような場合、診断書の入手が可能であれば是非入手しておくといいでしょう。診断書は、離婚の調停や裁判でも証拠として使えることも少なくありません。
更には、暴力等がひどい場合、裁判所に保護命令を出してもらうという方法もあります。
裁判所(地方裁判所の管轄<担当>事件です)が出す保護命令の内容は、
6か月間、住居や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。
夫婦が同居している場合、妻(夫)が引越し等の準備のため、2か月間、夫(妻)に対して、家から出ていくことを命じ、その家の付近をうろつくことを禁止する命令です。
6か月間、夫(妻)に対し、妻(夫)と同居している子の身辺につきまとったり、住居や通学先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。
6か月間、親族等の身辺につきまとったり、住居や勤務先の付近をうろつくことを禁止する命令です。
6か月間、夫(妻)から妻(夫)に対する面会要求、無言電話や深夜の電話、メール、FAXなどの迷惑行為を禁止する命令です。
上記のうち、(ハ)(二)(ホ)については(イ)(ロ)の付随的なものですので、(イ)(ロ)と同時に命令してもらうか、(イ)(ロ)の命令が出ているときに発令してもらうことができることになっています。(ハ)(二)(ホ)は単独で発令してもらうことはできません。
また、裁判所から保護命令を出してもらうには、原則として、事前に配偶者暴力相談支援センター又は警察に相談していることが必要です。保護命令の申立書には、このような相談に行ったことを記載する欄があります。保護命令の申立書については「保護命令」の言葉で検索すればインターネット上で書式を見ることができます。これを見ますと具体的にどのようにすれば保護命令の申立ができるのかよくわかると思います。
離婚をしようと思っても夫からの暴力が怖くて仕方がないというようなときには、このように保護命令を得てから調停の申立をするなどの方法も考えていいと思います。
家庭裁判所は、暴力が予想されるようなケースでは、例えば調停の部屋を夫と妻と別々にするなど、暴力事件などが起きないよう種々に配慮していますが、特に保護命令が出ているケースではより慎重にしてくれると思います。保護命令が出ている場合は、是非、調停申立の際そのことを裁判所に伝えてください。家庭裁判所では地方裁判所で出された保護命令のことは知らないのがふつうです。