離婚の基礎知識6|外国人の離婚 (9) 日本人と外国人あるいは外国人同士の離婚の場合、どこの国の法律が用いられる(適用される)ことになりますか これは、国際離婚あるいは渉外離婚などといわれているケースで、“法の適用に関する通則法”という法律(以前は“法例”という法律でした)で、国際離婚にはどこの国の法律が適用されるか決められています。 この法律の27条には、 第25条の規定は、離婚について準用する。但し、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は日本法による。 と定められ、25条には、 婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは、夫婦に最も密接な関係がある地の法による。 と定められています。 ですから、 (イ) 夫婦の本国法が同じときは、その本国法の法律 (ロ) 夫婦の共通の本国法がない場合(夫婦の国籍が異なる場合)で、夫婦の常居所地が同じときは、その常居所地の法律 (ハ) (イ)(ロ)もないときは、夫婦に最も密接な関係のある地の法律 となりますが,前記の27条に但書がありますので、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人である場合は日本法が適用されます。 常居所というのは、住所とは必ずしも一致せず、戸籍事務ではどのような場合に常居所といえるかどうかの通達が法務省から出されていますから、参考にはなるでしょう。この常居所の認定に関する通達はインターネットでも見ることができます。 ごく常識的な言い方をすれば、例えば、日本に相当の期間居住していれば、日本に常居所を有するということになるでしょう。そして、前記の法律の27条但書で、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人なら離婚については日本法が適用されることになります。 前記の(イ)の場合(夫婦の本国法が同一)の例としては、どちらも大韓民国の国籍を有する夫婦であれば、その夫婦の離婚については、二人とも長い間日本に住んでいたとしても、韓国民法が適用されることになります。前記(ロ)の例としては、例えば日本国籍を有する夫(妻)と大韓民国の国籍を有する妻(夫)が長期間日本で生活している場合,離婚については日本民法が適用されることになります。 そのほか、夫婦の一人は日本にいるけれども他方は外国にいるというような場合、そもそも日本で離婚の裁判ができるのかといったような問題もあります。 例えば、日本に居住する日本人夫からの、ドイツに居住するドイツ人妻に対する離婚請求の裁判について、日本の裁判所で裁判できるとした事例(最高裁平成8年6月24日判決)がありますが、この事例は、一審は日本の裁判所では裁判できないとしたものを、二審が日本で裁判できるとし、最高裁がそれを認めたものです。 これに限りませんが、国際離婚はどこの国の法律を適用するのか、そもそも日本で裁判ができるのか、外国法を適用すると、あまりにも日本の法あるいは慣習などと違いすぎ、そのまま外国法適用でいいのかどうかなど、専門家でも頭を悩ますような問題も少なくありませんし、たとえば外国法適用と思ってその外国法を見ると日本法適用となっているケースもあり(これを反致といっています)、できるだけ専門家に相談されるのがいいでしょう。
日本人と外国人あるいは外国人同士の離婚の場合、どこの国の法律が用いられる(適用される)ことになりますか
これは、国際離婚あるいは渉外離婚などといわれているケースで、“法の適用に関する通則法”という法律(以前は“法例”という法律でした)で、国際離婚にはどこの国の法律が適用されるか決められています。
この法律の27条には、
第25条の規定は、離婚について準用する。但し、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は日本法による。
と定められ、25条には、
婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは、夫婦に最も密接な関係がある地の法による。
と定められています。
ですから、
常居所というのは、住所とは必ずしも一致せず、戸籍事務ではどのような場合に常居所といえるかどうかの通達が法務省から出されていますから、参考にはなるでしょう。この常居所の認定に関する通達はインターネットでも見ることができます。
ごく常識的な言い方をすれば、例えば、日本に相当の期間居住していれば、日本に常居所を有するということになるでしょう。そして、前記の法律の27条但書で、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人なら離婚については日本法が適用されることになります。
前記の(イ)の場合(夫婦の本国法が同一)の例としては、どちらも大韓民国の国籍を有する夫婦であれば、その夫婦の離婚については、二人とも長い間日本に住んでいたとしても、韓国民法が適用されることになります。前記(ロ)の例としては、例えば日本国籍を有する夫(妻)と大韓民国の国籍を有する妻(夫)が長期間日本で生活している場合,離婚については日本民法が適用されることになります。
そのほか、夫婦の一人は日本にいるけれども他方は外国にいるというような場合、そもそも日本で離婚の裁判ができるのかといったような問題もあります。
例えば、日本に居住する日本人夫からの、ドイツに居住するドイツ人妻に対する離婚請求の裁判について、日本の裁判所で裁判できるとした事例(最高裁平成8年6月24日判決)がありますが、この事例は、一審は日本の裁判所では裁判できないとしたものを、二審が日本で裁判できるとし、最高裁がそれを認めたものです。
これに限りませんが、国際離婚はどこの国の法律を適用するのか、そもそも日本で裁判ができるのか、外国法を適用すると、あまりにも日本の法あるいは慣習などと違いすぎ、そのまま外国法適用でいいのかどうかなど、専門家でも頭を悩ますような問題も少なくありませんし、たとえば外国法適用と思ってその外国法を見ると日本法適用となっているケースもあり(これを反致といっています)、できるだけ専門家に相談されるのがいいでしょう。