1
法定後見制度のQ&A
(2)
Q:
後見開始の審判を申し立てたにもかかわらず、保佐開始の審判が相当であると判断される場合や、逆に保佐開始の審判を申し立てたにもかかわらず、後見開始の審判が相当であると判断される場合はどのようになるのですか?
A:
1.
申立と審判類型の不一致
本人の判断能力は成年被後見人、被保佐人、被補助人の順に高まる関係にありますが、実際の判断は必ずしも明確ではなく微妙な場合があります。最終的な類型の判断は家庭裁判所が行いますが、この判断が申立人の求めた類型と必ずしも一致しないことがあります。
本人の判断能力は成年被後見人、被保佐人、被補助人の順に高まる関係にありますが、実際の判断は必ずしも明確ではなく微妙な場合があります。最終的な類型の判断は家庭裁判所が行いますが、この判断が申立人の求めた類型と必ずしも一致しないことがあります。
2.
より軽い類型での審判をなすべき場合
後見開始の審判申立に対し、家庭裁判所が保佐開始の審判が相当であると判断した場合は、裁判所は申立の変更や予備的に保佐開始の審判申立をするように促します。多くの場合は、裁判所の指導に申立人は従うものと思われますが、申立人が裁判所の釈明に応じなかった場合でも後見開始の申立は保佐開始の申立を含む関係にあると考えて、家庭裁判所は保佐開始の審判ができると一般的に考えられています。
後見開始の審判申立に対し、家庭裁判所が保佐開始の審判が相当であると判断した場合は、裁判所は申立の変更や予備的に保佐開始の審判申立をするように促します。多くの場合は、裁判所の指導に申立人は従うものと思われますが、申立人が裁判所の釈明に応じなかった場合でも後見開始の申立は保佐開始の申立を含む関係にあると考えて、家庭裁判所は保佐開始の審判ができると一般的に考えられています。
3.
より重い類型での審判をなすべき場合
保佐開始の審判申立に対し、家庭裁判所が後見開始の審判が相当であると判断した場合も、裁判所は申立の変更や予備的に後見開始の審判申立をするように促します。
ここでも、裁判所の指導に申立人が納得せず、申立の変更等をしないことが考えられます。この場合は上記2の場合と異なり保佐開始の申立は後見開始の申立を含まない関係にあり、家庭裁判所は申立の範囲を超えた審判(より重度の類型の審判)をすることはできないとされているので、申立は却下されてしまいます。
保佐開始の審判申立に対し、家庭裁判所が後見開始の審判が相当であると判断した場合も、裁判所は申立の変更や予備的に後見開始の審判申立をするように促します。
ここでも、裁判所の指導に申立人が納得せず、申立の変更等をしないことが考えられます。この場合は上記2の場合と異なり保佐開始の申立は後見開始の申立を含まない関係にあり、家庭裁判所は申立の範囲を超えた審判(より重度の類型の審判)をすることはできないとされているので、申立は却下されてしまいます。
Q:
法定後見の申立をする場合に費用はどれくらいかかりますか?
A:
成年後見制度には次の費用が必要です。
1.
収入印紙(申立手数料)800円。ただし、保佐や補助で代理権や同意見の付与の申立もする場合はそれぞれ800円の追加が必要です。
2.
登記印紙(登記費用)4000円。
3.
郵便切手(連絡用)東京家庭裁判所の場合4300円。申立をする家庭裁判所にご確認ください。
4.
鑑定費用後見と保佐では必要な場合に本人の判断能力を医学的に確認するために医師による鑑定を行うことがあります。裁判所が費用を預かって鑑定医に支払います。鑑定料は事案によって異なりますが、概ね10万円以下です。補助開始の審判の場合は申立段階では必要ありません。
Q:
後見開始の審判の申立があると家庭裁判所は調査をするとききますが、誰がどのような調査をするのでしょうか?
A:
家庭裁判所は、成年後見等の申立てがあると、成年後見等の開始をするかどうかの審判を行います。家庭裁判所は、審判のために、その事件を担当する調査官を決めて、審判に必要な調査を命じます。
調査官による調査は、成年被後見人本人自身に関するものと後見人等の候補者に関するものの二つがあります。
調査官による調査は、成年被後見人本人自身に関するものと後見人等の候補者に関するものの二つがあります。
1.
本人自身に関する調査
(1)
人の略歴、職歴、病歴、今の生活状況、家庭状況、親族や申立人との関係等
(2)
診断書や医師との面談をふまえた、本人の判断能力
(3)
本人の資産、収入の内容について、現在誰が、どのように管理しているか
(4)
申立てについての本人の意思確認
(5)
後見人候補者、保佐人候補者、補助候補者についての本人の意思確認
なお、(4)・(5)については、本人の自己決定の尊重という趣旨から、調査官が本人と面接して丁寧に意思確認します。
2.
成年後見人等の候補者に関する調査
(1)
本成年後見人等と本人との関係については、利害関係等がないかどうか
(2)
後見人候補者等の職業や経歴
(3)
成年後見人等が職務を引き受けてくれるかについての意思確認
成年後見人等としての適格性の判断材料を収集しているといえます。
成年後見人等としての適格性の判断材料を収集しているといえます。
法定後見の開始2