第2
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民事調停の概要
(1)
民事調停とは
民事調停とは、家事事件・労働事件等を除く一般的な紛争において、裁判官及び調停委員により構成される調停委員会が、紛争当事者双方の言い分を聞き、仲介・あっせんをすることにより、紛争当事者による自主的解決を図ろうとする制度です。
(2)
対象事件
民事調停法は、「民事に関して紛争を生じたときは、当事者は、裁判所に申立をすることができる。」と規定しています(民事調停法2条)。したがって、民事に関する紛争であれば、民事調停を利用することができます。民事とは、個人や会社の権利・義務にかかわる事件をいいます。国対被告人(被疑者も含む)との事件である刑事事件や、国や地方公共団体などの一定の行為を対象とする行政事件を除いた紛争が民事事件であるとまずは理解すればよいでしょう。もっとも、民事に関する紛争であっても家事調停の対象となる「家庭に関する事件」との区別は、困難である場合が多くあります。家庭に関する事件との区別については、近くの簡易裁判所の受付相談センターや弁護士等に相談することが適切です。
(3)
利用方法
民事調停法は、2のとおり「民事に関して紛争を生じたときは、当事者は、裁判所に申立をすることができる。」と規定しています(民事調停法2条)。したがって、民事調停を利用しようと考えている者は、裁判所に民事調停の申立をすることになります。
(4)
取り下げ
一旦、民事調停の申立をした場合でも、調停調書の成立または調停に代わる決定がされるまでの間であれば、民事調停を申立てた者は自由に民事調停の申立をなかったことにすることができます。これを申立の取り下げといいます。民事調停の申立の取り下げは、書面又は口頭のどちらの方式によっても行うことができます。
(5)
相談場所
民事調停に関して気軽に相談できる場所として、各簡易裁判所に受付相談センター又は受付相談コーナーがあります。受付相談コーナーでは、民事調停の申立書の記載方法等の形式的な相談から、そもそも民事調停の申立をするべきであるか等の相談まですることができます。また、個別の法律事務所や弁護士会等が設けている無料法律相談等を利用して、民事調停に関して相談することもできます。
民事調停