第2
3
民事調停の出頭等
(1)
期日変更の可否
民事調停の開かれる日のことを期日といいます。期日は、調停委員会が指定しますが、その日は重要な用事のため出頭することができないことがあります。そのような外せない用事のため、指定された期日に民事調停に出頭することができない場合には、期日変更申請書を作成し、それを裁判所に提出することになります。そして、調停委員会が、民事調停の期日の変更がやむを得ない場合であると判断したときには、その期日は変更されます。
期日変更申請書の作成及び提出については、紛争の担当の裁判所書記官または弁護士に相談して下さい。
(2)
代理人よる出頭の可否
民事調停規則は、「調停委員会の呼出を受けた当事者は、みずから出頭しなければならない。但し、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。」と規定しています(民事調停規則8条1項)。したがって、やむを得ない事由により、民事調停の期日に出頭することができない場合には、代わりの者に出頭してもらうことができます。ここにいう「やむを得ない事由」とは、紛争当事者の病気、近親者の重病、葬式等が当たります。
また、代わりに出頭してもらう「代理人」は、本来は弁護士であることが望ましいのですが、紛争当事者の配偶者、兄弟等でも「代理人」となることができます。
(3)
出頭が困難な場合
民事調停規則は、「調停委員会は、事件の実情によって、裁判所外の適当な場所で調停をすることができる。」と規定しています(民事調停規則9条)。調停委員会より民事調停の呼出を受けた当事者が車椅子生活で、裁判所に行くことが非常に困難な場合などには、別の場所で調停を行ってもらえることもあります。車椅子での生活に加えて、裁判所が紛争当事者の自宅から非常に遠くにある等の事情がある場合には、裁判所以外で調停を行うことが調停委員会により認められる可能性は高いと思われます。
また、民事調停規則9条にある「事件の実情」とは、ケースバイケースですが、裁判所から遠い地域に複数の紛争関係者がいる場合、当事者が病気のため裁判所に出頭することが困難である場合等が当たると思われます。
なお、「適当な場所」とは、具体的事案によって異なりますが、一方当事者の自宅、公民館等の公的施設などが該当します。
4
調停前の保全措置
民事調停において、金銭の支払いを請求していても、民事調停がまとまる前に、相手方が自分の財産を処分してしまえば、民事調停を申し立てたことが無駄になってしまいます。そこで、民事調停法は、「調停委員会は、調停のために特に必要があると認めるときは、当事者の申立により、調停前の措置として、相手方その他の事件の関係人に対して、現状の変更又は物の処分の禁止その他調停の内容たる事項の実現を不能にし又は著しく困難ならしめる行為の排除を命ずることができる。」と規定しています(民事調停法12条)。したがって、調停の申立人は、上記のようなおそれがある場合には、調停委員会に対して、調停前の措置として相手方の財産処分の禁止を申立てることになります。そして、調停委員会が、調停のために特に必要であると認めるときは、相手方に対して、財産の処分の禁止等を命じることになります。
もっとも、この調停前の措置には直接的な強制力はなく、従わなかったとしても10万円以下の過料で済んでしまいます。
なお、上記調停前の措置とは別に民事保全制度があります。民事保全の手続では、民事調停とは別個の手続に従い、また担保を立てる必要がありますが、財産処分の禁止を直接的に強制することができます。民事保全制度については、弁護士等の法律の専門家に相談して下さい。
民事調停