第3
3
特定調停の一部の権利者のみに対する申立
(1)
申立の可否
特定調停に関する法律において、特定債務者は債権者全員に対して特定調停の申立をしなければならないとの規定は存しません。したがって、一部の債権者のみに対して特定調停を申立てることができます。
特に、他の債権者との間では、裁判外の交渉で紛争について話合いができているが、一部の債権者との間で話合いができていない場合等では、一部の債権者のみに対して特定調停を申立てることが適当です。
(2)
他の債権者の利益
(イ)
特定調停の効力
特定調停が成立したとしても、その成立の効力は特定調停の当事者に対してのみ及び、特定調停に関与していない債権者には及びません。
また、特定調停の成立内容は、「公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものでなければならない。」と規定されています。
したがって、特定調停に参加している当事者のみが得をする内容の特定調停が成立することはありません。
特定調停が成立したとしても、その成立の効力は特定調停の当事者に対してのみ及び、特定調停に関与していない債権者には及びません。
また、特定調停の成立内容は、「公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものでなければならない。」と規定されています。
したがって、特定調停に参加している当事者のみが得をする内容の特定調停が成立することはありません。
(ロ)
関係権利者の参加
進行中の特定調停の結果について利害関係を有する関係権利者であれば、調停委員会の許可無しに特定調停に参加することができます。
したがって、特定調停の当事者となっていない他の債権者でも、特定調停の結果について利害関係を有する者であれば、特定調停に参加することによって自己の利益を図ることができます。
進行中の特定調停の結果について利害関係を有する関係権利者であれば、調停委員会の許可無しに特定調停に参加することができます。
したがって、特定調停の当事者となっていない他の債権者でも、特定調停の結果について利害関係を有する者であれば、特定調停に参加することによって自己の利益を図ることができます。
4
特定調停の申立後の手続
(1)
手続の概要
(イ)
紛争当事者間の話合い
特定調停においても、民事調停と同様に、紛争当事者間で紛争に関しての話合いを進め、紛争の解決を図ります。
この話合いで、紛争が解決した場合には、その時点で特定調停は終了します。
特定調停においても、民事調停と同様に、紛争当事者間で紛争に関しての話合いを進め、紛争の解決を図ります。
この話合いで、紛争が解決した場合には、その時点で特定調停は終了します。
(ロ)
各種調査
紛争の解決のために、専門家の判断を要する場合には、調停委員会が、官庁・公署に対して資料や調査を依頼することがあります。
紛争の解決のために、専門家の判断を要する場合には、調停委員会が、官庁・公署に対して資料や調査を依頼することがあります。
(ハ)
調停案
調停委員会は、紛争当事者の各々の言い分を聞き、紛争について十分に把握できた時には、多くの場合、紛争の適切な解決案として調停案を作成して当事者に示します。
そして、当事者がその調停案に合意した場合には、調停調書が作成され、特定調停は終了します。
一方、当事者がその調停案で合意に至らないときには、調停案の修正を図り、再度当事者に示します。もっとも、紛争当事者間に合意の見込みがないような場合には、特定調停は不成立となり、特定調停は終了します。
調停委員会は、紛争当事者の各々の言い分を聞き、紛争について十分に把握できた時には、多くの場合、紛争の適切な解決案として調停案を作成して当事者に示します。
そして、当事者がその調停案に合意した場合には、調停調書が作成され、特定調停は終了します。
一方、当事者がその調停案で合意に至らないときには、調停案の修正を図り、再度当事者に示します。もっとも、紛争当事者間に合意の見込みがないような場合には、特定調停は不成立となり、特定調停は終了します。
(2)
調停開始の日時
特定調停の申立がなされると、その紛争に関しての調停委員会が組織されます(原則として、裁判官1名と調停委員2名から構成されます)。この調停委員会が、特定調停を行う日を決定し、紛争の当事者それぞれに、紛争当事者の氏名、調停が行われる期日・場所、出頭義務が記載された調停期日呼出状を送付します。
したがって、特定調停は、この調停期日呼出状に記載された日時に行われます。
(3)
民事執行手続の停止
特定調停に関する法律は、「裁判所は、事件を特定調停によって解決することが相当であると認める場合において、特定調停の成立を不能にし若しくは著しく困難にするおそれがあるとき、又は特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるときは、申立により、特定調停が終了するまでの間、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特定調停の目的となった権利に関する民事執行の手続の停止を命じることができる。」と規定しています。したがって、特定調停の債務者は、民事執行手続停止の申立をすることにより、特定調停の対象となっている債務に関する民事執行手続の停止を求めることができます。
(4)
民事調停手続への移行の可否
特定調停手続と通常の民事調停手続とは、その手続内容が大きく異なります。そのため、一度、進行した特定調停手続を通常の民事調停手続に移行することはできません。
(5)
裁判所の関与
特定調停に関する法律は、「特定調停については、この法律に定めるもののほか、民事調停法の定めるところによる。」と規定しています。そして、民事調停法は、「裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立の趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭支払い、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。」と規定しています(民事調停法17条)。
上記制度は、調停に代わる決定と呼ばれるものです。
したがって、本件特定調停において、裁判所は、紛争がまとまりそうもない場合で、調停に代わる決定をすることが相当であると判断した場合には、調停に代わる決定をすることがあります。
(6)
調停に代わる決定への不服申立方法
(イ)
特定調停法上の規定
特定調停に関する法律は、「特定調停については、この法律に定めるもののほか、民事調停法の定めるところによる。」と規定しています。
そして、民事調停法は、調停に代わる決定に対しては、「当事者又は利害関係人は、異議の申立をすることができる。その期間は、当事者が決定の告知を受けた日から二週間とする。」と規定しています(民事調停法18条1項)。
したがって、特定調停において、裁判所が調停に代わる決定をした場合でも、その告知の日より2週間以内に異議を申立てることにより、その決定の効力を失わせることができます。
特定調停に関する法律は、「特定調停については、この法律に定めるもののほか、民事調停法の定めるところによる。」と規定しています。
そして、民事調停法は、調停に代わる決定に対しては、「当事者又は利害関係人は、異議の申立をすることができる。その期間は、当事者が決定の告知を受けた日から二週間とする。」と規定しています(民事調停法18条1項)。
したがって、特定調停において、裁判所が調停に代わる決定をした場合でも、その告知の日より2週間以内に異議を申立てることにより、その決定の効力を失わせることができます。
(ロ)
異議の申立方法
異議の申立は書面でも口頭でも可能ですが、口頭で異議の申立をする場合には、紛争の担当の裁判所書記官の面前で異議を申立て、調書を作成してもらう必要があります。
異議の申立は書面でも口頭でも可能ですが、口頭で異議の申立をする場合には、紛争の担当の裁判所書記官の面前で異議を申立て、調書を作成してもらう必要があります。
特定調停