第4
1
概要
(1)
家事調停とは
家事調停とは、家庭内の事件について、裁判官及び調停委員により構成される調停委員会が、紛争当事者双方の言い分を聞き、仲介・あっせんをすることにより、紛争当事者による自主的解決を図ろうとする制度です。
(2)
対象事件
家事事件手続法は、「家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行う」と規定しています(家事事件手続法244条)。別表第一に掲げる事項とは、家庭内の紛争のうち、当事者間の話合いよりも裁判所が後見的に関与する方が適切な紛争であり、具体的には、子の氏の変更、相続放棄、成年後見人の選任、養子縁組の許可等です。これらについては、家事調停手続を利用することはできません。
一方、婚姻費用の分担、養育費の請求、財産分与、親権者の指定・変更、婚姻無効、離婚等については、家事調停手続を利用することができます。
実際に直面している紛争が家事調停手続の対象となるか否かについては、家事手続案内又は弁護士等に相談して下さい。
(3)
利用方法
家事調停を利用しようと考えている者は、家庭裁判所に家事調停の申立をすることになります。具体的には、申立書を作成して紛争を管轄する家庭裁判所に提出することになります。
(4)
取り下げ
家事調停は、調停調書の成立等により家事調停手続が終了するまでの間であれば、家事調停を申立てた者は自由に家事調停の申立の取り下げをすることができます。
(5)
相談場所
家事調停に関して気軽に相談できる場所として、各家庭裁判所に家事手続案内が設けてあります。したがって、家事調停の申立書の記載方法等の形式的な相談から、そもそも家事調停の申立をするべきであるか等の相談まで、上記家事手続案内に相談することができます。
また、弁護士会等が設けている無料法律相談等を利用して、家事調停に関して相談することもできます。
(6)
調停前置主義
(イ)
家事事件手続法上の規定
家事事件手続法は、家事調停を行うことができる事件について「訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。」と規定しています(家事事件手続法257条1項)。
したがって、家したがって、家事調停の対象事件については、訴訟を提起する前に家事調停の申立てを行う必要があります。この制度を調停前置主義といいます。
家事事件手続法は、家事調停を行うことができる事件について「訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。」と規定しています(家事事件手続法257条1項)。
したがって、家したがって、家事調停の対象事件については、訴訟を提起する前に家事調停の申立てを行う必要があります。この制度を調停前置主義といいます。
(ロ)
例外
調停前置主義の例外として、紛争の相手方が行方不明、従前の経緯からして当事者間の話合いによる解決の見込みがない等の事情がある場合で、訴訟の提起を受けた裁判所が事件を調停に付することを適用でないと認めるときは、裁判所はそのまま事件について審理をすることができます。
調停前置主義の例外として、紛争の相手方が行方不明、従前の経緯からして当事者間の話合いによる解決の見込みがない等の事情がある場合で、訴訟の提起を受けた裁判所が事件を調停に付することを適用でないと認めるときは、裁判所はそのまま事件について審理をすることができます。
2
家事調停の申立て
(1)
申立方法
家事事件手続法は、「家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。」と規定しています(家事事件手続法245条1項)。よって、基本的には相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に家事調停を申立てることになります。
もっとも、紛争当事者間で家事調停を申立てる裁判所について合意をしている場合には、その合意の内容に従った家庭裁判所に申立てることができます。
また、事件の種類によっては、相手方の住所地以外を管轄する家庭裁判所に申立てる必要があります(例えば、親権者の指定・変更に関する事件であれば、子の住所地を管轄する家庭裁判所、相続の放棄・限定承認に関する事件であれば、相続開始地を管轄する家庭裁判所)。
したがって、事件を申立てるべき家庭裁判所については、近くの家庭裁判所の家事手続案内や弁護士に相談することが望ましいと思われます。
(2)
申立書の記載事項
(イ)
申立書の記載事項
家事調停の申立書には、下記(a)から(f)までの事項を記載する必要があります。
家事調停の申立書には、下記(a)から(f)までの事項を記載する必要があります。
(a)
当事者の表示
申立人及び相手方の氏名・住所を記載します。また代理人が申し立てる場合には、その代理人の氏名・住所を記載します。
さらに、申立人又はその代理人は、押印を要します。
申立人及び相手方の氏名・住所を記載します。また代理人が申し立てる場合には、その代理人の氏名・住所を記載します。
さらに、申立人又はその代理人は、押印を要します。
(b)
作成年月日
家事調停の申立をする日付を記載します。
家事調停の申立をする日付を記載します。
(c)
裁判所の表示
家事調停を申立てる裁判所を記載します。
家事調停を申立てる裁判所を記載します。
(d)
申立の実情
紛争の経緯等について記載します。
紛争の経緯等について記載します。
(e)
申立の趣旨及び理由
申立人が、紛争において、望んでいる解決とその理由を記載します。
申立人が、紛争において、望んでいる解決とその理由を記載します。
(f)
事件の種類
遺産分割、離婚等、対象事件の種類を記載します。
遺産分割、離婚等、対象事件の種類を記載します。
(ロ)
申立書の記載例
代表的な家事調停の申立書の記載例としては、当ガイドの「調停の書式・文例」をご覧下さい。
代表的な家事調停の申立書の記載例としては、当ガイドの「調停の書式・文例」をご覧下さい。
(ハ)
申立書の入手場所
家事調停の申立書は、各家庭裁判所に用意してあります。
家事調停の申立書は、各家庭裁判所に用意してあります。
(3)
提出書類
(イ)
添付書類
家事調停の申立の際には、申立書の他に、事件の実情を明らかにする証拠書類の提出が必要となります。
家事調停の申立の際には、申立書の他に、事件の実情を明らかにする証拠書類の提出が必要となります。
(ロ)
証拠書類
事件の実情を明らかにする証拠書類がある場合には、その原本又は写しを申立書と共に提出することになります。
もっとも、申立書と同時に提出することができない場合でも、後日、証拠書類のみを提出することができます。
必要となる証拠書類については、各家庭裁判所の家事手続案内又は弁護士等に相談して下さい。
事件の実情を明らかにする証拠書類がある場合には、その原本又は写しを申立書と共に提出することになります。
もっとも、申立書と同時に提出することができない場合でも、後日、証拠書類のみを提出することができます。
必要となる証拠書類については、各家庭裁判所の家事手続案内又は弁護士等に相談して下さい。
(4)
申立費用
(イ)
費用
家事調停の申立に際しては、手数料と郵便切手の費用がかかります。
家事調停の申立に際しては、手数料と郵便切手の費用がかかります。
(ロ)
手数料
手数料は、収入印紙で支払うことになります。
手数料の額は、一律1200円です。
手数料は、収入印紙で支払うことになります。
手数料の額は、一律1200円です。
(ハ)
郵便切手
郵便切手は、紛争当事者に関係書類を送るため等に使用されます。
郵便切手の金額は、相手方の人数や事件の種類などによって異なるため、具体的な金額については、各家庭裁判所の家事手続案内に相談して下さい。
郵便切手は、紛争当事者に関係書類を送るため等に使用されます。
郵便切手の金額は、相手方の人数や事件の種類などによって異なるため、具体的な金額については、各家庭裁判所の家事手続案内に相談して下さい。
家事調停