調停の知識13|家事調停の調停手続きの終了、調停に代わる審判

調停ガイド

第4

家事調停

5

家事調停の終了

(1)

効果

(イ)
家事調停の成立
紛争に関して、当事者間の話合いがまとまると、その内容の調停調書が作成されます。この調書には、原則として、後から不服を唱えることはできません。
別表第ニに掲げる事項に係る調停調書の記載は、確定した家事審判と同一の効力(執行力を含む。)を有し(家事事件手続法268条1項括弧書き、同法75条)、その他の事項に係る調停調書の記載は、確定判決と同一の効力を有します(家事事件手続法268条1項)。
(ロ)
調停調書
調停調書は、家庭裁判所に調停調書交付の請求書を提出することにより受け取ることができます。
調停調書交付の請求書の記載方法等については、紛争の担当の裁判所書記官、家庭裁判所の家事手続案内等に相談して下さい。
(2)

相手方が調停で定められた事項を守らない場合

(イ)
強制執行
当事者の一方が、調停の内容に従わない場合、その内容を実現するために、強制執行を申立てることができます。
強制執行とは、一定の義務を負っている者がその義務に従わない場合に、国の権力によって強制的にその義務を実現させるための制度のことをいいます。
(ロ)
履行の勧告・命令制度
家事調停においては、調停で定められた義務を相手が守らない場合に、家庭裁判所が相手方に対して義務の履行を勧告する制度があります。
また、調停調書の内容が、金銭の支払いその他の財産上の給付を目的とする義務の履行である場合において、相手方がその義務を守らない場合に、家庭裁判所が相手方に対して、相当の期限を定めて、その義務の履行を命令する制度もあります。
履行の勧告・命令制度は、家庭裁判所に対して履行勧告の申立をすることにより利用することができます。
履行命令制度には、相手方が、家庭裁判所より履行命令を受けたのにもかかわらず、正当な理由なくその履行命令に従わなかった場合には、相手方は10万円以下の過料に処せられます。
6
合意に相当する審判
(1)

合意に相当する審判とは

合意に相当する審判とは、家庭裁判所が、一定の要件を充たす場合に、当事者間の合意に沿った審判をする制度のことです(家事事件手続法277条)。
(2)

対象事件

合意に相当する審判は、個人の自由処分が許されない性質をもつ人事訴訟事項(離婚及び離縁を除く。)に係る調停事件(特殊調停事件ともいいます。)のみ対象となります。
(3)

異議の申立て

合意に相当する審判に異議のある当事者又は利害関係人は、その審判の告知を受けた日(告知を受ける者でない場合は当事者が告知を受けた日)から、2週間以内に異議を申立てる必要があります(家事事件手続法279条)。
家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合、その異議の申立てに理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければなりません(家事事件手続法280条3項)。
利害関係人から適法な異議の申立てがあった場合、合意に相当する審判の効力は失われ、家庭裁判所から、当事者に対し、その旨を通知されることとなります(家事事件手続法280条4項)。
(4)

効力

合意に相当する審判がなされ、異議申立て期間内に適法な異議申立てがなかった場合、この審判は、確定判決と同一の効力を有します(家事事件手続法281条)。
7
家事調停に代わる審判
(1)

調停に代わる審判とは

調停に代わる審判とは、調停が成立しない場合において、家庭裁判所が相当と認めるときに職権で審判をする制度のことです(家事事件手続法284条)。
(2)

対象事件

家事審判法時代は、一般調停事件のみが対象とされていましたが、家事事件手続法では、上記の合意に相当する審判の対象となる事件を除く、全ての調停事件を対象としています(家事事件手続法284条1項)。
(3)

異議の申立

調停に代わる審判に異議のある当事者は、その審判の告知を受けた日(告知を受ける者でない場合は当事者が告知を受けた日)から、2週間以内に異議を申立てる必要があります(家事事件手続法284条2項の準用する279条2項から4項)。
当事者から適法な異議申立てがあった場合、調停に代わる審判の効力は失われ、家庭裁判所から、当事者に対し、その旨を通知されることとなります(家事事件手続法286条6項)。
(4)

効力

調停に代わる審判がなされ、異議申立て期間内に適法な異議申立てがなかった場合、別表第ニに掲げる事項に係る審判は、確定した家事審判と同一の効力(執行力を含む。)を有し(家事事件手続法287条、同法75条)、その余の調停に代わる審判は確定判決と同一の効力を有します。

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