第1
交通事故の被害者の損害賠償請求
2
(5)
共同不法行為者
(イ)
共同不法行為とは
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うとされています(共同不法行為責任。民法719条1項)。
そして、共同不法行為責任の成立要件は、複数人の意図的な行為または不注意による行為が客観的にみて一体となって損害を生じさせたといえることで足ります。全員で共謀または共同して損害を生じさせることまでは必要ありません。たとえば、タクシーが他の車と事故を起こし、その乗客が怪我をした場合、車双方に過失がある場合には、乗客に対しては双方の車が共同で不法行為責任を負うということです
共同不法行為者は、それぞれの責任割合にかかわらず、被害者に対してそれぞれ損害の全額を賠償する義務を負います。また、被害者は、共同不法行為者の一方に損害の3割を請求し、他方に残り7割を請求するということもできます。そして、共同不法行為者の一方が損害の全部を賠償した場合、被害者はもはや誰に対しても損害賠償を請求することができなくなり、一部のみ賠償した場合は、残額についてのみ共同不法行為者のいずれかに賠償を請求することができます。
この共同不法行為責任は、直接の加害者同士だけに限らず、直接の加害者と運行共用者責任(自動車損害賠償補償法3条)が成立する運行共用者や使用者責任(民法715条1項)が成立する使用者との間にも成立します。
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うとされています(共同不法行為責任。民法719条1項)。
そして、共同不法行為責任の成立要件は、複数人の意図的な行為または不注意による行為が客観的にみて一体となって損害を生じさせたといえることで足ります。全員で共謀または共同して損害を生じさせることまでは必要ありません。たとえば、タクシーが他の車と事故を起こし、その乗客が怪我をした場合、車双方に過失がある場合には、乗客に対しては双方の車が共同で不法行為責任を負うということです
共同不法行為者は、それぞれの責任割合にかかわらず、被害者に対してそれぞれ損害の全額を賠償する義務を負います。また、被害者は、共同不法行為者の一方に損害の3割を請求し、他方に残り7割を請求するということもできます。そして、共同不法行為者の一方が損害の全部を賠償した場合、被害者はもはや誰に対しても損害賠償を請求することができなくなり、一部のみ賠償した場合は、残額についてのみ共同不法行為者のいずれかに賠償を請求することができます。
この共同不法行為責任は、直接の加害者同士だけに限らず、直接の加害者と運行共用者責任(自動車損害賠償補償法3条)が成立する運行共用者や使用者責任(民法715条1項)が成立する使用者との間にも成立します。
(ロ)
交通事故の被害者が病院で治療中に医療ミスにあった場合
自動車で追突されて怪我をしたため、病院に運ばれて医師の治療を受けたところ、担当医師の医療過誤により症状が悪化した場合、自動車事故の加害者と担当医師に共同不法行為責任が成立し、被害者は自動車事故の加害者と担当医師に対して損害賠償を請求することができます。
ここでも、自動車事故の加害者と担当医師は、連帯して損害を賠償する責任を負います。したがって、生じた損害に対する責任の割合が共同不法行為者間で異なる場合であっても、被害者は両者のいずれかに対して全額の請求をすることができるということです。
自動車で追突されて怪我をしたため、病院に運ばれて医師の治療を受けたところ、担当医師の医療過誤により症状が悪化した場合、自動車事故の加害者と担当医師に共同不法行為責任が成立し、被害者は自動車事故の加害者と担当医師に対して損害賠償を請求することができます。
ここでも、自動車事故の加害者と担当医師は、連帯して損害を賠償する責任を負います。したがって、生じた損害に対する責任の割合が共同不法行為者間で異なる場合であっても、被害者は両者のいずれかに対して全額の請求をすることができるということです。
(6)
公の営造物の設置・管理者
(イ)
営造物責任とは
道路、河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国または公共団体は、これを賠償しなければならないとされています(営造物責任。国家賠償法2条1項)。この営造物責任において、道路の設置または管理に瑕疵があったことにつき、国または公共団体に不注意があったかどうかは問われません(いわゆる無過失責任)。
また、国または公共団体に営造物責任が認められる場合に、道路等の営造物の設置または管理にあたる者と、営造物の設置または管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者も、損害賠償責任を負うとされています(国家賠償法3条1項)。
したがって、管理者は国土交通大臣であるものの、その費用は国と都道府県が負担している一般国道については、国のほかに都道府県に対しても損害賠償請求をすることができます。
道路、河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国または公共団体は、これを賠償しなければならないとされています(営造物責任。国家賠償法2条1項)。この営造物責任において、道路の設置または管理に瑕疵があったことにつき、国または公共団体に不注意があったかどうかは問われません(いわゆる無過失責任)。
また、国または公共団体に営造物責任が認められる場合に、道路等の営造物の設置または管理にあたる者と、営造物の設置または管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者も、損害賠償責任を負うとされています(国家賠償法3条1項)。
したがって、管理者は国土交通大臣であるものの、その費用は国と都道府県が負担している一般国道については、国のほかに都道府県に対しても損害賠償請求をすることができます。
(ロ)
「設置または管理の瑕疵」とは
「設置または管理の瑕疵」とは、道路の設置または管理が不十分であるために、道路が通常有していなければならない安全性を欠いていることをいいます。そして、「瑕疵」があったといえるかどうかは、道路の構造、用法、場所的環境および利用状況等のさまざまな事情を総合的に考慮して、ケースバイケースで判断されます。
したがって、国や公共団体が法令や内規に従って設置および管理していたとしても、個別具体的な事情によっては、「瑕疵」があったと認められる場合があります。
また、国や公共団体の予算上の制約があることは、通常、「瑕疵」を否定する理由にはならないとされており、道路の「瑕疵」が不可抗力の災害によって生じたとしても、災害の発生が事前に予測可能であり、道路管理者として危害の波及を防止するに必要な措置を講じることができたにもかかわらず、これを怠ったとすれば、道路管理上の「瑕疵」があるとする裁判例があります。
なお、裁判例上、「瑕疵」には、穴ぼこ、段差、路上障害物の放置、落石、地滑り、雪崩、排水設備の不備、側溝・マンホールの蓋の不具合、ガードレールの不備、証明設備の不備等があります。ただ、上述のように、「瑕疵」といえるかどうかは、あくまでもケースバイケースで判断されるので、都市部の国道や高速道路では「瑕疵」とされる穴ぼこでも、山間部の道路では多少の穴ぼこは「瑕疵」にあたらない場合もあります。
「設置または管理の瑕疵」とは、道路の設置または管理が不十分であるために、道路が通常有していなければならない安全性を欠いていることをいいます。そして、「瑕疵」があったといえるかどうかは、道路の構造、用法、場所的環境および利用状況等のさまざまな事情を総合的に考慮して、ケースバイケースで判断されます。
したがって、国や公共団体が法令や内規に従って設置および管理していたとしても、個別具体的な事情によっては、「瑕疵」があったと認められる場合があります。
また、国や公共団体の予算上の制約があることは、通常、「瑕疵」を否定する理由にはならないとされており、道路の「瑕疵」が不可抗力の災害によって生じたとしても、災害の発生が事前に予測可能であり、道路管理者として危害の波及を防止するに必要な措置を講じることができたにもかかわらず、これを怠ったとすれば、道路管理上の「瑕疵」があるとする裁判例があります。
なお、裁判例上、「瑕疵」には、穴ぼこ、段差、路上障害物の放置、落石、地滑り、雪崩、排水設備の不備、側溝・マンホールの蓋の不具合、ガードレールの不備、証明設備の不備等があります。ただ、上述のように、「瑕疵」といえるかどうかは、あくまでもケースバイケースで判断されるので、都市部の国道や高速道路では「瑕疵」とされる穴ぼこでも、山間部の道路では多少の穴ぼこは「瑕疵」にあたらない場合もあります。
3
損害賠償請求の内容
被害者が加害者に賠償を請求できる損害は、加害者が起こした事故から通常生ずるであろうと認められる範囲内の損害すべてです。自動車事故による損害の種類は、まず、負傷または死亡による人身損害と、自動車破損等の物的損害に大別されます。そして、人身損害は、財産上の損害と精神的苦痛による損害に分けられます。財産上の損害は、被害者が事故のために支出した治療費、入院代、付添費、交通費、葬儀費用等の積極損害と、事故がなければ被害者が得られたであろう利益を得られなかったことによる消極損害(逸失利益、休業損害)に分けられます。そして、精神的苦痛による損害を賠償するのが、慰謝料です。
また、請求できる損害の賠償額または填補額については 、大別すると3つの基準があります。自賠責保険基準と、保険会社基準、そして裁判所基準(弁護士会基準)です。一般に、自賠責保険基準が最も低く、裁判所基準が最も高額となります。つまり、
自賠責保険基準 < 保険会社基準 < 裁判所基準(弁護士会基準)
という関係にあり、示談の場合にどの基準を適用するかによって、被害者の受け取れる損害賠償額が全く違ってしまいます。
保険会社は当然、自賠責保険基準で示談を要求してきます。しかし、あわてて示談に応じる必要は全くありません。被害者としては、裁判所基準で損害賠償額を算定して請求していけばよいのです。
もう一つ、一般的な傾向として、 示談<調停<訴訟 と手続の段階を追うごとに賠償額が上がるという実務の傾向もあります。
被害者は、低額な金額で示談に応じることなく、調停や訴訟によって、裁判所基準の賠償額を得ることによって初めて真の救済が得られる場合が少なくありません。
以下、(1)傷害事故の場合、(2)後遺症が生じた場合、(3)死亡事故の場合にわけて整理します。
損賠賠償請求の相手方