5
自動車保険のQ&A
(1)
(チ)
不服申立手段
Q:
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の被保険者の責任の認定や後遺症の等級認定に不服があるときは、どうすればよいのでしょうか?
A:
1.
損害の調査
自賠責保険の請求がなされると、自賠責保険会社から損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所に関係書類が送付されます。高度の専門的知識が要求され判断が困難な事案や異議の申立があった事案は「特定事案」として、医師、弁護士、学識経験者等の専門家から構成される自賠責保険審査会で審査されます。
これらの調査または審査の結果は損害保険料率算出機構から自賠責保険会社に報告がなされ、自賠責保険会社はこれに基づいて支払額を決定します。
自賠責保険の請求がなされると、自賠責保険会社から損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所に関係書類が送付されます。高度の専門的知識が要求され判断が困難な事案や異議の申立があった事案は「特定事案」として、医師、弁護士、学識経験者等の専門家から構成される自賠責保険審査会で審査されます。
これらの調査または審査の結果は損害保険料率算出機構から自賠責保険会社に報告がなされ、自賠責保険会社はこれに基づいて支払額を決定します。
2.
異議申立て
(1)
自賠責損害調査事務所や自賠責保険審査会における調査や審査の結果、加害者に責任がないと判断されたときには支払いはなされず、また、被害者に重過失があると判断された等の場合には、支払額が減額されることがあります。後遺症の等級認定が不該当とされたり、予想よりも低い等級が認定されることもあります。
(2)
このような認定に不服がある場合には、被保険者または被害者が保険金または損害賠償額を請求している(支払に関する判断を行った)自賠責保険会社に対して、その判断に不服である理由を記載した異議申立書に、その理由を裏付ける資料を添付して提出することにより、異議申立をすることができます。
異議申立書には特に書式があるわけではありませんが、自賠責保険会社の窓口に用紙が用意されていますので、これを利用するのもよいでしょう。
異議申立書には特に書式があるわけではありませんが、自賠責保険会社の窓口に用紙が用意されていますので、これを利用するのもよいでしょう。
(3)
異議に対する判断は、既に提出されている書類および異議申立に際して提出された書類の審査を基本とし、場合によっては追加の調査を行います。したがって、既に提出している書類(診断書や事故状況報告書等)に基づく主張については、どの資料のどこを根拠にしているのかを具体的に指摘し、主張を裏付ける新たな資料(診断書、意見書、画像資料等)があれば、これを添付するようにすべきです。
(4)
自賠責保険会社は、保険金等の請求があったときは、遅滞なく、支払った保険金等の金額、後遺症の該当する等級、その等級に該当すると判断した理由、その他の支払に関する重要な事項を記載した書面、または、保険金等の支払をしない場合には、その理由を記載した書面を請求者に対して交付しなければならないとされています(自動車損害賠償補償法16条の4)。また、請求者は自賠責保険会社にこれらの書面について不明な点等があるときは、書面で回答するよう説明を求めることができます(同法16条の5)。異議申立に際しては、これらの書面に記載された内容を十分に検討し、その判断の誤りを具体的に指摘することが必要です。
3.
紛争処理機構に対する紛争処理申請
(1)
財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構は、自賠責保険金等の支払に関する紛争を中立・公正な判断で解決することを目的とした民間による裁判外紛争処理機関です。
(2)
自賠責保険会社に対する異議申立は損害調査のやり直しを求めるものであり、紛争処理機構に対する紛争処理申請は第三者機関に新たに損害調査を求めるものであり、両者は別個独立の不服申立制度です。したがって、いつでもいずれに対しても不服申立をすることはできますが、資料不足が明らかな事案では追加の資料を提出しさえすれば自賠責保険会社の判断が変更され、直ちに不服が解消される可能性があることや、紛争処理機構による紛争処理の結果は、自賠責保険制度における最終判断とされていることから、紛争処理機構の紛争処理申請の受付時に、自賠責保険会社に対する異議申立を最低一度は経るようにアドバイスがなされているようです。
4.
訴訟の提起
自賠責保険会社に対する保険金等の請求訴訟を提起し、その中で自賠責保険会社の判断を争点とする方法もあります。
ただ、この方法によると、実務上、原則として後遺症等級認定等を留保する運用がなされており、また、紛争処理機構は紛争処理を行いません。
自賠責保険会社に対する保険金等の請求訴訟を提起し、その中で自賠責保険会社の判断を争点とする方法もあります。
ただ、この方法によると、実務上、原則として後遺症等級認定等を留保する運用がなされており、また、紛争処理機構は紛争処理を行いません。
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