6
紛争の解決方法Q&A
(1)
Q:
自動車事故による損害賠償を解決する方法にはどのようなものがありますか?
A:
1.
日弁連交通事故相談センター
日弁連交通事故相談センターは、全国の弁護士会等にあり、専門の弁護士が無料で相談を担当し、示談のあっせんまでしてくれます。当事者同士で話し合いがまとまらないときや、損害が少額のため裁判費用をかけたくないときなどに利用されます。
日弁連交通事故相談センターは、全国の弁護士会等にあり、専門の弁護士が無料で相談を担当し、示談のあっせんまでしてくれます。当事者同士で話し合いがまとまらないときや、損害が少額のため裁判費用をかけたくないときなどに利用されます。
2.
交通事故紛争処理センター
交通事故紛争処理センターは、全国10か所にあり、嘱託弁護士が常時配置され、相談を受けてくれるほか、判決のように裁定をしてくれます。この裁定には、保険会社を拘束する効力が認められています。ただし、裁判所を拘束する効力まではないため、裁定に不服があれば、あらためて裁判所に提訴することが可能です。訴訟よりも短時間、かつ、無料で解決できることから、利用者が多いようです。なお、このセンターでは、加害者が任意保険に加入していない場合には、裁定を出せないという制約があります。
交通事故紛争処理センターは、全国10か所にあり、嘱託弁護士が常時配置され、相談を受けてくれるほか、判決のように裁定をしてくれます。この裁定には、保険会社を拘束する効力が認められています。ただし、裁判所を拘束する効力まではないため、裁定に不服があれば、あらためて裁判所に提訴することが可能です。訴訟よりも短時間、かつ、無料で解決できることから、利用者が多いようです。なお、このセンターでは、加害者が任意保険に加入していない場合には、裁定を出せないという制約があります。
3.
仲裁センター
各都道府県の弁護士会の中には、仲裁センターを設置しているところがあります。弁護士会が選任する中立の立場の仲裁人が、双方の主張を聞いて、確定判決と同じ効果をもつ仲裁判断をします。仲裁に従うかどうかは、事前に当事者の合意が必要であるため、仲裁センターでは「仲裁合意書」に当事者が署名捺印してから、仲裁を始めます。申立後1か月以内に仲裁が始まり、1か月に1回くらいのペースで進行します。費用や仲裁の対象となる損害額の上限は各センターで異なります。
各都道府県の弁護士会の中には、仲裁センターを設置しているところがあります。弁護士会が選任する中立の立場の仲裁人が、双方の主張を聞いて、確定判決と同じ効果をもつ仲裁判断をします。仲裁に従うかどうかは、事前に当事者の合意が必要であるため、仲裁センターでは「仲裁合意書」に当事者が署名捺印してから、仲裁を始めます。申立後1か月以内に仲裁が始まり、1か月に1回くらいのペースで進行します。費用や仲裁の対象となる損害額の上限は各センターで異なります。
4.
調停
以上はいずれも裁判所外の制度ですが、裁判所が関与する解決方法の1つが調停です。厳格な手続が必要で、そのために時間や費用がかかる訴訟と異なり、話合いによって短時間かつ廉価で解決したいときには、調停が有効です。調停は相手方が話合いに応じないときや、妥協点が見いだせないときには不向きですが、調停が成立すれば、調停調書が作成され、確定判決と同じ効力を持つことになり、強制執行をすることまで可能です。
以上はいずれも裁判所外の制度ですが、裁判所が関与する解決方法の1つが調停です。厳格な手続が必要で、そのために時間や費用がかかる訴訟と異なり、話合いによって短時間かつ廉価で解決したいときには、調停が有効です。調停は相手方が話合いに応じないときや、妥協点が見いだせないときには不向きですが、調停が成立すれば、調停調書が作成され、確定判決と同じ効力を持つことになり、強制執行をすることまで可能です。
5.
訴訟
当事者間で話合いがまとまらないときは、訴訟によらざるを得ません。訴訟を提起する場合には、弁護士に相談することをお勧めします。
当事者間で話合いがまとまらないときは、訴訟によらざるを得ません。訴訟を提起する場合には、弁護士に相談することをお勧めします。
(2)
示談
(イ)
示談の時期
Q:
自動車事故の被害者が加害者と示談する場合、いつ示談をすればよろしいでしょうか?
A:
1.
示談がいったん成立すると、その自動車事故に関しては損害賠償の問題は解決したこととなり、示談した金額では治療費等の損害を賠償するには足りない場合にも、不足分を後になって請求することはできないのが原則です。全治していないにもかかわらず、概算額で示談をしてしまい、思ったよりも治療が長期化した場合に、後で示談金を追加で支払ってもらうのは困難です。また、賠償してもらうべき損害のうち、通院費用、入通院慰謝料などは、入通院日数を基礎として算出されるので、入通院がまだ終わってもいないのに、焦って示談を成立させてしまうのは得策とはいえません。
したがって、示談は、全治または症状固定との診断がなされ、損害額の全体が確定または算定できるようになってからするべきです。
したがって、示談は、全治または症状固定との診断がなされ、損害額の全体が確定または算定できるようになってからするべきです。
2.
ただし、損害賠償を支払ってもらわなければ、治療や生活にも困るような場合には、示談により全て解決してしまわずに、内金払いや仮払いを受けるようにすべきです。
(ロ)
示談の相手方
Q:
自動車事故の被害者が示談をする場合、誰を示談の相手方にすればよいですか?
A:
1.
第三者を加害者側の担当者として示談交渉の相手にした場合に、せっかく示談が成立しかけてきたというときに、加害者本人が、「その第三者が自分の意見を聞かずに、勝手に進めてきただけだから示談を成立させることはできない」と言って、それまでの示談交渉の成果を反故にすることがあります。
したがって、示談交渉をする際には、法律上の損害賠償責任を負担する人(しかもできれば支払能力のある人)、または、その弁護士、示談代行付保険の保険会社の担当者等適法な交渉権限のある人を相手にするべきです。
したがって、示談交渉をする際には、法律上の損害賠償責任を負担する人(しかもできれば支払能力のある人)、または、その弁護士、示談代行付保険の保険会社の担当者等適法な交渉権限のある人を相手にするべきです。
2.
法律上の損害賠償責任を負う者には、
(1)
加害車両の運転者、
(2)
加害車両の運行供用者、
(3)
加害車両を使用者の業務中に運転している場合の使用者、
(4)
加害車両の運転者が未成年の場合にはその親権者等法律上の監督義務を負う者、
(5)
以上の者の相続人、
等があります。
3.
最近の任意自動車保険では当たり前になってきている示談代行付保険に加害者が加入している場合には、その保険会社の担当者が示談交渉を代行します。ただ、保険会社による示談代行はあくまでも、被害者が同意する場合にのみ可能ですので、保険会社の担当者の示談交渉の進め方に不審な点があれば、保険会社との交渉を拒むことができます。本人(または本人が代理人に選任した弁護士)との交渉を選ぶことができるわけです。
(ハ)
示談金の支払を確保する方法
Q:
自動車事故の被害者が示談をする場合、示談金の支払いを確保する方法にはどのようなものがありますか?
A:
1.
加害者が自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)や対人・対物賠償責任保険に加入しているような場合には、いったん定められた示談金が支払われなくなるという心配はまずありませんが、加害者が自賠責保険や任意保険に加入しておらず、資産もないような場合には、示談金の支払いを確保するのは非常に困難です。
2.
後者のような場合には、そもそも支払が困難になるような示談金の額や支払方法、例えば、加害者の月収が30万円であるにもかかわらず、月額20万円の分割払いとするような示談は、成立したとしても、結局支払いができなくなることは明らかですから、無意味と言わざるを得ません。加害者側の支払能力を考慮した現実的な示談内容にするべきです。
3.
また、加害者の近親者等に示談金支払いの連帯保証人となってもらうことを検討するべきです。
4.
さらに、加害者側が示談金を支払わない場合に、強制執行をすることができるようにするために、公正証書の作成や、簡易裁判所の即決和解を利用する方法があります。
紛争の解決方法の種類