交通事故
交通事故被害にあったときに請求できる損害について(8)
前回は,被害者が交通事故で亡くなられた場合に考えられる代表的な3つの損害(1.死亡逸失利益,2.死亡慰謝料,3.葬儀費用)のうち,2.死亡慰謝料について説明しました。今回は,第1で3.葬儀費用について説明した後に,第2で簡単に税務申告の要否について説明します。
第1 葬儀費用
1 葬儀費用は原則として150万円までが損害として認められます。
実際に支払った葬儀費用が150万円を下回った場合は,その支払った費用が損害額となります。
2 葬儀費用には,火葬費用,葬儀場の費用,住職に対して支払う読経料や戒名料が含まれます。
葬儀費用を請求するためには原則として領収書が必要ですが,住職は領収書を出してくれないことも多いので,住職に対して支払った費用は領収書がなくても請求可能です。
3 150万円以上の葬儀費用を損害として裁判所が認めることもあります。
150万円以上の葬儀費用を請求する場合は,通常の葬儀よりも高額な葬儀を挙げる必要があった理由を具体的に主張立証する必要があります。
第2 税務申告の要否
1 被害者が亡くなられた場合,相続財産の額が基礎控除の範囲を超えているときは,相続税の申告が必要となります。
この点,被害者の遺族が受け取る損害賠償金については,相続税の申告の対象財産には含まれません。また,被害者の遺族の確定申告も不要です。
2 もっとも,被害者が死亡保険に加入しており,死亡保険料を受け取った場合は,その保険料が相続税の申告の対象財産に含まれますので,注意が必要です。
被害者が亡くなられたときは,遺族の精神的負担も大きく,損害賠償請求についてなかなか気が回らないこともあると思いますが,保険会社との交渉を弁護士に任せてしまえば,交渉の負担が大きく軽減されます。また,正当な賠償金を受け取るためにも,早めに弁護士に相談することをお勧めします。